2001年3月24日

「椿の島」を一周

 翌朝(2001年3月24日)はまだ暗い5時前に、伊豆大島の岡田港の民宿「とみや」を出発。岡田港の「山田廻漕店」にSMX50をあずける。

 6時、東海汽船の「さるびあ丸」が岡田港に入港。下船する乗客たちを見ていると、突然、「カソリさ〜ん!」と、ぼくを呼ぶ声が聞こえてくるではないか。甲板には何とサハリンを一緒に走った「サハリン軍団」の竹澤裕介さんと北村滋さんがいるではないか。2人はこれから式根島まで行くという。乗船するなり、3人で甲板の片隅に座り込み、昨年(2000年)の「サハリン往復縦断」の話に夢中になった。2人のおかげで利島までの1時間は、ほんとうに楽しいものになった。

 利島は「椿の島」。全島が椿で覆われている。その数は数十万本といわれ、椿油の生産は日本一。利島は伊豆諸島の中では最小の島で、人口もわずか300人。それでも利島村という一村を成している。集落は利島港周辺のひとつだけで、ここに利島村役場や「利島郷土資料館」(入館無料)、小学校、中学校、駐在所、島で唯一の食堂「てづか」、「阿豆佐和気命神社」などがある。ここでは利島郷土資料館を見学し、阿豆佐和気命神社を参拝した。

 利島港近くの民宿「寺田屋」に宿をとってから島一周を開始する。

 利島南端の南ヶ山園地展望台からの眺めはよかった。目の前には無人島の鵜渡根島が見える。その向こうにはこれから行く新島が見える。式根島は新島に隠れているが、その先の神津島の一部が見えている。島にいながら別の島を見るのはいいものだ。胸にグググッと迫ってくるものがある。

 南ヶ山園地の近くには、阿豆佐和気命神社の本宮がある。神社周辺は自然林で覆われ、タブの大木も見られた。ここは東京都では一番の照葉樹林といっていい。

 利島は2周した。

 2周目では島の最高峰の宮塚山(507m)に登った。海岸からそのままキューンとそそりたつ山なので、かなり急な登り。大汗をかいて山頂に立った。山頂には樹木がおい茂っているので、見晴らしがよくないのがなんとも残念なことだった。

 利島港に戻ると、民宿の「寺田屋」へ。夕食にはイカの刺し身とフライ、タカベの焼き魚、ハバノリの煮物、アシタバのあえ物、タラの芽の天ぷら、カンパチの味噌汁と、利島ならではのものがふんだんに出た。ハバノリは利島特産の海草。民宿のご主人は漁師。食膳に出た魚などはご主人が獲ったもので鮮度抜群。これが島旅のよさというものだ。

2 Thoughts on “伊豆七島紀行[56]”

コメントは受け付けていません。