伊豆七島紀行[55]

2001年3月22日

「島めぐり日本一周」に出発!

 2001年から2002年にかけての「島めぐり日本一周」では全部で188の島をめぐったが、まずは「伊豆七島」から始めた。

 出発したのは2001年3月22日のことで、東京港竹芝桟橋から22時00分発の東海汽船の「さるびあ丸」(4965トン)に相棒の50ccバイク、スズキSMX50とともに乗り込んだ。

「さるびあ丸」は翌朝の6時に伊豆大島の岡田港に入港。SMX50の入ったコンテナが岸壁に下ろされた。

 島めぐりの基本は「島一周」。一周道路のある島では必ず一周するようにした。時計回りでまわるか、反時計回りでまわるかは、そのときの気分次第。島に上陸し、島の地図を見たときに決める。ということで、伊豆大島は岡田港に上陸したときに、反時計回りで島を一周しようと決めた。

 伊豆大島は伊豆諸島最大の島。島一周は50キロほどである。岡田港を出発し、元町に近づいたところで、温泉宿を発見。平成の湯温泉「くるみや旅館」。ちょうど朝食の時間帯なので、入浴させてもらえるかなあ…と、だめでもともとのつもりで頼んでみたら、宿の主人は「どうぞ、どうぞ」といってくれた。入浴料500円。さらに「使って下さい」といって新しいタオルまで出してくれた。

 平成の湯温泉は「島めぐり日本一周」の記念すべき第1湯目になった。

 伊豆大島最大の町、元町に着いたところでは給油しようとした。ところがタンクのキャップがあかない…。なんともドジなことに、タンクキャップのキーを家に置き忘れてしまったのだ。SMX50はスペイン・スズキの製造で、メインスイッチのキーとタンクキャップのキーは別になっている。

 ドライバーでタンクキャップをこじあけようとしたが、うまくいかない。何ともラッキーなことに、すぐ近くに自動車の修理工場があった。そこの主人に頼むと、鮮やかな手つきでタンクキャップをこじあけてくれた。修理代を払おうとすると、「いいんだよ」といって受け取らない。お礼に自販機のカンコーヒーを何本か渡した。

 元町港の前にある喫茶店「モア」でコーヒー&トーストの朝食を食べ、伊豆大島の西海岸を南下し、波浮港へ。しっとりとした情緒あふれる港町。

「磯の鵜の鳥りゃ 日暮れにゃ帰る 波浮の港は 夕焼け小焼け…」
 と、港の突端には野口雨情の「波浮の港」の歌碑が建っている。

 それを見ていると、自然に口ずさんでしまうような波浮港だ。

 波浮港からは伊豆大島の東海岸を走り、大島一周道路から「裏砂漠」に入った。

「日本に砂漠があるだなんて…」
 と、驚きを感じてしまうが、それも本土ではなく島にある。

 固く締まった黒色のダートを走りはじめたとき、「サハラ砂漠縦断」のシーンが目に浮かんだ。三原山の山頂に向かって果てしなく広がる裏砂漠には一木一草もない。まさにサハラ砂漠を連想させる砂漠の世界。日本の広さを「島めぐり」の初っぱなの伊豆大島で知らされた。

 裏砂漠を走ったあとは、泉津の「大島公園」の「椿資料館」(入館無料)を見学。ここには100種類以上もの椿の切り花が展示されていた。「椿園」には5000本以上もの椿が植えられ、椿の木の下は落ちた花で赤い絨毯のようだった。

 泉津の集落内を走る「大島一周道路」は見事な椿の並木道。樹齢200年以上の古木も見られる。椿並木を走っていると、
「今、伊豆大島にいる!」
 と強く感じるのだった。

 岡田港の岸壁に戻り伊豆大島一周を終えると、再度、元町まで行く。「火山博物館」を見学し、SMX50のエンジンをうならせて御神火スカイラインを登り、三原山の火口へ。「御神火茶屋」のある外輪山の展望台に立ち、活火山の三原山を一望。そこから50分ほど歩いて山頂へ。三原神社を参拝し、「お鉢めぐり」をする。パックリと口をあけた三原山の中央火口は不気味だ。

 元町に下ると、港に隣接した長根浜公園内の「浜の湯」(入浴料金400円)に入った。混浴(といっても水着着用)の大露天風呂。さらに「御神火温泉」(入浴料1000円)の湯に入った。そのあと伊豆大島最北端の乳が崎に立ち、岡田港に戻ると、岡田の民宿「とみや」に泊まるのだった。

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