賀曽利隆の観文研時代[86]

魚沼の鮭と鮎と山菜料理(3)

1986年

魚沼の夕餉の膳をご馳走になる。家の主人は鮎酒を飲んでいる。食卓には鮎の塩焼き、鮭の煮つけ、ぜんまい煮もの、菊の酢のもの、大崎菜などが並んでいる
魚沼の夕餉の膳をご馳走になる。家の主人は鮎酒を飲んでいる。食卓には鮎の塩焼き、鮭の煮つけ、ぜんまい煮もの、菊の酢のもの、大崎菜などが並んでいる

 上越国境の山々から雪どけ水が流れてくる頃、魚野川では筌(うけ)を使ってのカジカとりがおこなわれる。カジカとりの筌のことを「カジカツツ」と呼んでいる。

 カジカは清流に生息するカジカ科の魚で、体長は10センチほど。体の色は茶褐色で、斑点がある。

 カジカは串刺しにして焼き、醤油をかけて食べる。そのほか、カジカ酒にもする。これがうまい。焼いたカジカを深皿に入れ、その上から熱燗にした酒を注ぐ。

 木の芽どきになるとハユ(ウグイ)を釣る。骨のかたいハユは、いかにも川魚らしい。山椒味噌をつけた味噌田楽にすることが多い。

 7月に入って鮎が解禁になると、魚野川はおとり鮎を使う友釣の釣人たちでにぎわう。東京方面からもかなりの釣人がやってくる。「魚野川の鮎」といえば、釣人の間では有名だ。

 鮎はとれたばかりのものを塩焼きにするのが一番。味の良し悪しはひとえに焼き方にかかってくる。竹串に刺した鮎を炭火で焼くのが最良の焼き方だと、地元の人たちはいう。

 カジカ酒と同じように鮎酒にもする。若鮎特有の香が酒に移り、鮎酒ならではの風味をかもし出す。

 魚沼の盆料理に鮎は欠かせない。地元の釣人たちは、盆料理に足りる分だけの鮎を釣ろうと懸命になる。でないと、養殖鮎を使わざるをえないからだ。天然鮎と養殖鮎の味の違いは大きい。

 魚野川に流れ込む小川ではドジョウがよくとれる。

 ドジョウはドジョウ鍋にして食べるのが一般的。水に入れて泥をはかせたドジョウを丸煮する。鍋に酒を入れて火にかけ、その中にドジョウとネギを入れ、砂糖醤油で味つけし、卵を落として食べるのだ。

 ドジョウ汁にもする。ドジョウと一緒に川魚の雑魚や野菜を入れた醤油味の汁である。

 魚沼の自然は豊かだ。魚野川の流域には肥沃な水田が広がり、魚野川の本流と魚野川に流れ込む支流からは、何種もの川魚がとれる。鮭ものぼってくる。鱒ものぼってくる。周囲の山では良質の山菜がとれる。秋になればシメジなどのキノコがたくさんとれる。

 そんな魚沼の里を見下ろすかのように、駒ヶ岳(2003m)、中ノ岳(2085m)、八海山(1775m)の越後三山が聳えたっている。