下関(17)
下関のフグ(4)
1985年
下関漁港と南風泊漁港
翌日は下関駅のすぐ裏にある下関漁港に行き、漁港をプラプラ歩いた。
狭い水道をはさんで、対岸には彦島がある。
下関漁港の岸壁には多くの漁船が接岸していたが、イカ釣り船やトロール漁船が目立つ。下関と韓国の間の距離の近さをうかがわせるかのように、韓国漁船も多く入港している。漁港の構内には韓国語のハングルで書かれた案内もある。
下関漁港は日本有数の漁港。西日本でいえば、境港(鳥取)、長崎、博多、唐津(佐賀)、浜田(島根)に次いで、水揚げ量の多い漁港になっている。
昭和58年(1983年)の下関漁港の魚種別の水揚げ量を見てもらおう。
イカ 16943トン
サバ 8967トン
カレイ 7889トン
サワラ 6809トン
タチウオ 6531トン
アジ 4795トン
イワシ 4111トン
フグ 3437トン
グチ 3098トン
エソ 2388トン
フグの3437トンという数字は、全国のフグ水揚げ量のじつに8割を超える。このことからも、下関は日本のフグの本場だといえる。
ところが、フグが実際に水揚げされるのは下関漁港ではない。下関対岸の彦島の北西端に位置する南風泊(はえどまり)漁港なのである。
南風泊漁港の魚市場はフぐ専門で、昭和49年に関門海峡に面した唐戸市場から移った。唐戸市場は現在でも水産物の市場として機能しているが、手狭になったことや、船舶の往来が頻繁な関門海峡は危険だという理由もあって、フグだけが南風泊市場に移った。