賀曽利隆の観文研時代[43]

常願寺川(11)

 有峰ダムから芦峅寺に戻ると、今度は称名滝に行く。

 常願寺川右岸の一本道を川上に向かって4キロほど走ると、真川と称名川が合流する千寿ヶ原に出るが、ここから富山湾までが常願寺川になる。

 千寿ヶ原からさらに4キロほど走ると桂台に着く。ここは立山に登る立山道路の入口でで、称名滝への道もここから始まる。

 桂台では雪は見られなかったが、称名川沿いの道を登るにつれて雪が多くなっていく。雪との悪戦苦闘の末に、ついに称名滝が見えるところまでやってきた。そこにXL250を止めると、滝の下まで歩いた。

称名川にかかる称名滝
称名川にかかる称名滝

 称名滝は称名川の峡谷が袋小路になっているところにある。そそり立つ断崖絶壁の間からドドーッと、絶えることのない轟音をたてて流れ落ちている。まわりをぐるりととり囲む断崖は冬の日差しを遮り、滝の下は体の芯まで凍てつきそうになるほど寒い。

 高さ350mの称名滝は日本で一番高い滝。4段になって流れ落ちているが、下から見ると、最後の滝しか見えない。

 称名滝の右手には高さ500mといわれるハンノキ滝があるが、岩肌に凍りつき、青白く光っているだけだった。

 称名滝を最後に、芦峅寺の「大仙坊」に戻った。