鵜ノ子岬→尻屋崎[018]

第1回目(17)2011年5月10日-20日

警官が遺体の捜索をしていた

 国道45号で宮古の中心街に入っていく。

 今回の東日本大震災で、ぼくにとっての一番衝撃的な映像というと、宮古を襲った大津波のシーンだ。大川はあっというまにあふれ、あふれ出た膨大な水は滝となって道路に流れ落ち、走っている車を飲み込んだ。漁船が大川を木の葉のように流れ、大橋に激突した。その映像が目に焼きついて離れない。

 宮古まで来て、その場所を特定できた。

 大川は宮古の中心街を流れる閉伊川で、大橋は国道45号の宮古大橋、滝のようにあふれ出た膨大な水に飲み込まれた道は国道106号である。その衝撃的な映像は川岸の宮古市役所の屋上から撮られたものだという。

 国道45号は宮古大橋で閉伊川を渡るとT字路にぶつかり右折。すぐに国道106号との分岐点に出る。その分岐点を右折して国道106号に入り、宮古市役所前を通り、高架の国道45号の下をくぐり抜けていくという構造になっている。そこで閉伊川河口の漁港に出た。

 そのあと宮古漁港に行く。岸壁には大型漁船が接岸していたが魚市場は休業中。魚市場前の道の駅「みやこ」も休業中だ。

 宮古の中心街は思ったほどの被害は出ていなかったが、港の周辺は壊滅的にやられていた。警視庁の警官が2人で1組になってガレキと化した町跡で遺体の捜索をしていた。

 宮古湾口の龍神まで行ってみたが、周囲が激しくやられた中で、しっかりと赤い鳥居も赤い橋も残っていた。そこから名勝の浄土ヶ浜に行ったが、「浄土ヶ浜レストハウス」は休業中だった。

 宮古から国道45号を北上。万里の長城のようなクロスする巨大防潮堤に囲まれた田老は、内陸側の防潮堤は残ったが海側の防潮堤は破壊された。町は全滅状態。大津波は防潮堤を乗り越えたのだ。

 田老から小本へ。小本川の河口にある一軒宿の温泉、小本温泉は残っていた。まだ休業中だったが、営業を再開できそうな感じがした。三陸海岸には本格的な温泉がほとんどないので、小本温泉の1日も早い再開が待たれる。

 田野畑村に入ると、まずは鵜ノ巣断崖へ。そこから見下ろす「海のアルプス」を眺めた。切り立った断崖絶壁が連続する風景は、ほんとうにアルプスの山並みのように見える。

 国道45号から海沿いの県道44号に入る。

 田野畑漁港の前を通り北山崎へ。ここでは夕暮れの展望台に立ち、三陸海岸屈指のの絶景を眺めた。

 田野畑村から普代村に入り、北緯40度線の黒崎へ。ここには国民宿舎「くろさき荘」がある。飛び込みで宿泊を頼むと、なんと泊まれた。

「くろさき荘」は復興事業で全国から集まっている業者のみなさんでほぼ満室状態なだけに、何ともラッキー。湯上りのビールがうまかった。