2011年5月30日

出発までの極楽タイム

 2011年5月30日。

 関子嶺温泉の夜明け。目を覚ますとすぐに「関子嶺統茂温泉会館」の朝湯に入る。大浴場と大露天風呂の湯にどっぷりとつかった。

「くわ〜、たまらん!」

 朝湯はほんとうに気持ちいい。

 露天風呂の湯につかりながら山の端に昇る朝日を見た。

 さっぱりした気分で関子嶺温泉の町歩きを開始。すでに食堂はやっている。店先では饅頭を蒸かしている。家並みの途切れるところまで歩いたが、そこには亜熱帯の風景が広がっていた。竹林もある。高台に立ち、舗装路が縫って走る谷間を見下ろした。

「関子嶺統茂温泉会館」に戻ると朝食。まずは熱々の麺2種を食べる。つづいて朝粥。そのあとバイキングの朝食をしっかりと食べた。朝湯に入って、朝の温泉街を歩いて、朝食を目いっぱい食べて、出発までの朝のこの時間は極楽タイムだ。

 関子嶺温泉を出発。TEKKENを走らせ、山中のワインディングロードを快適に、爽快に、自由自在に走り抜けていく。TEKKENの良さを十分に実感できる山中のルート。その軽快感がたまらない。

 周囲の山々には檳榔(びんろう)が多く見られる。檳榔は細く切ったものをキンマの葉にくるみ、少量の石灰と一緒に噛む。これは台湾のみならず熱帯アジアの各地で見られる習慣。噛んだあとは吐きすてるが、血のように赤い吐き出し物はちょっと気持ち悪い。

 1970年代に台湾に何度か来た頃は道路上のあちこちにこの檳榔の吐き出し物が見られたが、今はほとんど、というよりもまったくといっていいくらいに見られない。それは道路上に吐き出し、もし見つかると、罰金刑を食らうからだという。

 国道3号に出る手前で山間の小学校前を通ったが、じつに立派な造りの建物。台湾がいかに教育に力を入れているかが、一目でわかる。

 国道3号に出ると、北へ。中埔の町に入っていく。ここで給油&小休止。台鈴の李さんはTEKKEN、NEX、GSR、ADDRESSの台鈴の主力4車を1台1台、きれいに洗車する。

「さすが。えらいぞ、李さん!」

 中埔の町から阿里山へ。

 台湾屈指の名所、阿里山は独立したひとつの山ではなく、台湾の最高峰、玉山(3952m)を含む標高2000メートル超の18峰の総称。「世界三大山岳鉄道」のひとつ、阿里山鉄道が阿里山駅まで通じている。

「阿里山」と聞くと、「阿里山の娘」の歌を口ずさんでしまう。

  山は緑
  空青く
  阿里山の娘は美しい
  阿里山の娘は美しい〜!

 阿里山入口の「十字路」に着くと、広い駐車場は観光バスで埋め尽くされていた。李さんは、「全部、大陸から」という。それにしてもすさまじいばかりの「チャイナパワー」だ。

 中国人観光客は台湾を席捲している。いや、台湾のみならず世界を席捲している。どこに行っても、中国人観光客を乗せた大型バスを見るような時代になった。

 日本にもかつては、こういう時代があった。高度経済成長期、日本人の団体はパリやロンドン、ニューヨークを席捲した。しかしそれも遠い昔の話になった。