2015年6月3日

出雲神話の古里を走る

 6月3日。鳥取駅前の「東横イン」の朝食を食べ、8時出発。国道9号を行く。魚見台ではVストローム650を止め、日本海の海岸線を見下した。

 国道9号を西へ。米子の手前で境港への国道431号に入り、皆生温泉近くの日吉津温泉「うなばら荘」の湯に入っていく。

 境港からは境水道大橋を渡って島根県に入った。

 鳥取県と島根県の県境は分かりにくいが、米子と日本海有数の水揚げ高を誇る境港漁港は鳥取県である。境港から境水道橋を渡った島根半島は島根県になる。

 地図を見ると、島根半島はじつに奇妙な形をしていることがよくわかる。どこからか無理やり引っ張られてきて、強力な接着剤かなにかで宍道湖、中海の北岸にくっつけられたような地形、とでも言えばいいのだろうか。

 本来ならばその南の米子、松江、出雲市辺りが海岸線になっていいはずである。この奇妙な形の島根半島こそが出雲神話の古里だ。

 まずは県道2号で島根半島東端の地蔵崎に行く。途中の美保関港では美保神社を参拝し、名物の「焼きイカ」を食べた。さらに県道2号を走り、地蔵崎の美保関灯台へ。道はここで尽きる。岬の突端に立つと隠岐の島影がくっきりと水平線上に浮かび上がっていた。ここでは灯台前の「美保関ビュッフェ」で「美保関カレー」を食べた。

 地蔵崎は古来「美保之碕」と言われてきたが、出雲神話の「国引伝説」では能登半島から引っ張られてきたことになっている。海越しに眺める大山を杭にし、綱を掛けて引っ張った。皆生温泉から境港にかけて延びる弓ヶ浜は、その綱の跡だという。

 地蔵崎からは県道2号→国道431号で松江へ。ここでは松江城の天守閣に登り、松江の町並みを見下した。

 松江からは宍道湖畔の国道431号で出雲市へ。その途中では一畑薬師に寄り、「一畑薬師まんじゅう」を食べた。

 出雲大社の参拝を終えると、島根半島西端の日御碕に行く。岬の突端には高さ44メートルの日本一のノッポ灯台が立っている。息を切らし、足をガクガクさせて登りつめた灯台の上からの眺めはすばらしい。島根半島北岸の海岸線を一望する。

 日御碕は出雲神話の「国引伝説」によると、朝鮮半島から引っ張られたことになっている。出雲・石見国境の三瓶山に綱を掛けて引っ張り、その綱の跡が園の長浜なのだという。また島根半島は隠岐やロシアの沿海州辺りから引っ張られてきたことになっているが、日御碕に立って地図を見れば見るほど、出雲神話の「国引伝説」は真に迫ってくるのだった。

 日御碕灯台をあとにすると、岬近くの日御碕神社を参拝し、「日御碕ドライブイン」で「サザエ丼」を食べた。そしてJR出雲市駅へ。駅前の「東横イン」に泊った。連夜の「東横イン」だ。