「123・10987・46」

『地平線通信』2023年5月号より

●みなさん、GWはいかがお過ごしでしたか。ぼくは4月30日から5月9日までの10日をかけて「123・10987・46」をやりました。「えー、何ですか、その123・10987・46って?」と言われそうですが、わかる人にはすぐにピンとくるかと思います。そうです、日本の幹線国道の「1桁国道」です。国道1号→国道2号→国道3号で鹿児島へ、鹿児島からは国道10号→国道9号→国道8号→国道7号で青森へ、最後は国道4号→国道6号で東京に戻ったのです。そんなカソリの連休123…を聞いてください。

●第1日目。朝から雨。重い気分で神奈川伊勢原市の自宅を出発。相棒は4月5日に20万キロを達成したVストローム250。我が家から14キロ走った地点で国道1号の国府新宿(大磯町)の交差点に出る。ここから「123編」の開始だ。小田原まで行くと雨は上がり、ホッとしたのもつかのま、箱根峠は数メートル先も見えない濃霧。静岡県に入り、三島まで下ると雲の切れ間から青空が見えた。静岡、浜松を通り、愛知県に入った。15時、豊橋に到着。さー、宿探し。連休中なのに、大津の「東横イン」がとれた。超ラッキー。宿がとれないことを想定して、どこでも野宿できるようにテント、シュラフを積んでいる。しかし結論から先に言うと、野宿することもなく、全泊宿がとれた。さすが「強運カソリ!」。名古屋からはナイトランで三重県に入る。四日市から鈴鹿峠を越えて滋賀県に入り、23時には大津に着いた。部屋で缶ビールで乾杯!(走行距離439キロ)

●第2日目。夜明け前の4時に出発。京阪神の大都市圏を早朝のうちに走り抜けていく。大阪駅前の梅田新道の交差点が国道1号の終点であり、国道2号の起点。兵庫・岡山県境の船引峠のトンネルを抜け出ると山陽路をひた走る。岡山、広島の県都を通り、山口県に入ったのは16時。上出来だ。下関に到着したのは20時。ここでも泊りは「東横イン」。とにかく眠い。ベッドに横になった瞬間、爆睡モードに入っていた。「カソリの3秒寝」だ。(走行距離607キロ)

●第3日目。今日は余裕のある行程なので出発は5時。関門トンネルを抜けて門司へ。ここから国道3号になる。関門トンネルの通行料は110円。これが今回の唯一の有料道路代。天気は快晴。福岡到着は7時。朝からやっている「博多屋」で「博多ラーメン定食」を食べた。小栗峠を越えて熊本県に入り、熊本に到着したのは12時。その先の宇土の「洋食亭」で「エビおむれつ」を食べた。これが絶品。鹿児島到着は16時30分。照国神社前の交差点が国道3号の終点。その交差点から鹿児島の中心街の天文館を走り抜け、鹿児島中央駅前の「東横イン」に泊った。さっそく夜の町を歩き、「駅亭さつま」で「薩摩の黒豚しゃぶしゃぶ鍋」を食べた。(走行距離423キロ)

●第4日目。5時出発。照国神社前の交差点から今度は国道10号を走り出す。目指すは青森。「10987編」の開始だ。すばらしい日の出を見る。鹿児島湾を真赤に染めて朝日が昇る。威風堂々とした桜島はいつものように噴煙を上げている。宮崎県を走り抜け、大分県に入り、15時には大分に到着。あちこちの宿を探したが、どこも満室。これが連休。大分を諦め別府へ。ここでは耳寄りな情報をキャッチ。日帰り入浴の「かっぱの湯」は宿泊可だという。さっそく行ってみると宿泊OK。そのかわり10人以上の宿泊客とのゴロ寝だ。ぼくの隣には中年の夫婦…。(走行距離350キロ)

●第5日目。4時30分出発。この日はスペシャルステージで、「豪州軍団」の九重での集まりに参加する。「豪州軍団」とは30年前に一緒にオーストラリアをバイクで走った仲間たち。国道10号で中津へ、中津から国道212号で日田へ、日田から国道210号で九重まで行った。まずは温泉めぐり。壁湯温泉と筋湯温泉の2湯に入ったが、壁湯温泉の混浴露天風呂では2人の若い女性と一緒になり、筋湯温泉の共同浴場では豪快なうたせ湯に打たれた。やまなみハイウェイで久住連山から阿蘇へ。熊本地震で大きな被害を受け、楼門を再建中の阿蘇神社を参拝し、九重に戻った。16時15分、「九重グリーンパーク泉水キャンプ場」に到着。ここが「豪州軍団」のミーティング会場。広大なキャンプ場は連休で大盛況。我々の会場は2階建のバンガロー。ここで「豪州軍団」のみなさんとのうれしい再会をはたした。錦戸陽子さんの作ってくれた熊本の郷土料理「だご汁」を腹いっぱいいただいたあとは、飲んで騒いで、大宴会は真夜中までつづいた。(走行距離387キロ)

●第6日目。みなさんの見送りを受け、ひと足先に出発。時間は7時。水分峠を越え、湯布院を通り、8時には別府に戻った。国道10号で中津を通り、福岡県に入る。小倉で国道3号と合流し、門司港からは国道2号で関門トンネルを走り抜けて下関へ。小郡までは国道2号と9号の重複区間。小郡からは国道9号で県都山口を通り、野坂峠を越えて島根県に入る。益田、浜田、江津を通り、出雲市駅前の「東横イン」に泊った。(走行距離581キロ)

●第7日目。4時30分出発。松江を通って鳥取県に入る。米子、鳥取を通り、中国と関西を分ける蒲生峠を越えた。兵庫県、京都府と国道9号を走り、12時30分、京都に到着。ここから滋賀県の草津までは国道1号と国道8号の重複区間。草津からは国道8号を行く。琵琶湖を見ながら走り、湖北まで行くと雨。それも恐怖の大雨。な、なんとこの大雨は青森までつづく。峠を越えて福井県に入り、敦賀駅前の「東横イン」に泊った。(走行距離496キロ)

●第8日目。4時出発。土砂降りの国道8号で福井、金沢、富山、新潟の北陸4県の県都を通過。新潟では古町の道路元標まで行く。ここが国道8号の終点であり、国道7号の起点になる。国道7号を北へ。村上を過ぎたところで、道の駅「朝日」の日帰り温泉「朝日まほろば」に飛び込みで行く。ここは宿泊可。連休最後の日曜日ということもあって泊れた。地獄で出会った天国のようなものだ。宿泊棟は2階建の別荘風建物。近代的なキッチンつき。さっそく温泉に入り、生き返った。そのあと道の駅のレストランで「桜ますと山菜の春定食」を食べた。さすが山菜王国だけあって各種山菜の天ぷらは超美味だった。(走行距離546キロ)

●第9日目。4時45分出発。大雨警報の出る中、国道7号を北へ。鶴岡、酒田を通り、秋田県に入るとガクンと気温が下がる。秋田を通り、大館まで行くと気温は3度。県境の矢立峠の雪を覚悟した。「助かった!」。矢立峠では雪は降っていない。道の駅「矢立峠」の赤湯に入り、湯から上がると、レストランで「きりたんぽ鍋」を食べる。テレビでは北東北各地の季節外れの大雪を報じている。青森県に入り、弘前を通り、17時、青森に到着。青森駅前の「東横イン」に泊まる。最後の最後まで大雨は降りつづいたが、雪にはならなかった。(走行距離411キロ)

●第10日目。4時出発。気温は0度。強烈な寒さだ。国道4号を南下。陸奥湾に朝日が昇る。天気は快晴。国道4号の路面凍結が心配だったが、さすが春の雪、路面に雪はまったく残っていない。岩手県から宮城県に入り、仙台の先の岩沼からは国道6号を行く。福島県に入ると気温がグングン上がっていく。「もう大丈夫!」。浜通りを南下し、いわき市から茨城県に入る。日立周辺の大渋滞を走り抜け、水戸を通過。「あともうひと息!」。利根川を渡って千葉県に入り、東京・日本橋に到着したのは23時。これにて「45編」、終了。日本橋は大改修の工事中で一大工事現場になっている。最後は国道1号。多摩川を渡って神奈川県に入り、横浜、茅ヶ崎、平塚を通り、大磯の国府新宿の交差点に到達したのは2時。日本橋からは74キロ地点。ここから伊勢原の自宅に戻った。「123・10987・46」の全行程は4994キロ。「残念、あと6キロで5000キロだったのに…」と悔しがるカソリ。それとともに青森からは津軽海峡を渡り、国道5号で「函館〜札幌」を往復し、最後を「546編」にするべきだったと無性に悔やまれた。「あと1日あればできたのに…」。ま、それはおいて、ぼくにとってはとってもいいGWになりました。(走行距離864キロ)

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