第2回目(2)2011年6月11日-12日
桁違いの放射線量
川内村から国道399号を北へ。
名無しのゆるやかな峠を越えて田村市に入った。ここは旧都路村。中心の都路の旅館は営業していた。
都路で国道288号に合流し、重複国道を郡山方向に行ったところで右折。ふたたび国道399号を北へと走る。
札掛峠を越えて葛尾村に入る。国道399号は次々と阿武隈山地の峠を越えていくのだ。葛尾村からは登館峠を越えて浪江町に入った。
浪江町の津島から赤宇木(あこうぎ)にかけては放射線量が極端に高いところで、赤宇木に至ってはこの日の測定では40.0マイクロシーベルトを超えている。桁違いの放射線量の高さだ。それでも国道399号は通行止にはなっていない。
浪江町と飯館村の境はいちづく坂峠。峠でビッグボーイを止めて写真を撮っていると、通りがかったパトカーに調べられた。福島県警ではなく警視庁のパトカー。口調こそ丁寧だったが、まるで犯罪者を調べるかのようで、免許証を見せるだけではすまなかった。無線で本部に連絡し、確認をとってから無罪放免になった。
いちづく坂峠を下っていく途中でも、またしても警視庁のパトカーに止められた。そして同じようにして調べられた。
いちづく坂峠を下りきったところが長泥。長泥十字路の掲示板には毎日の放射線量の測定値が掲示されている。
それは3月16日から始まっていた。
3月16日16時30分の測定値は7.5マイクロシーベルトだが、翌3月17日14時17分の測定値は95.1マイクロシーベルトと、すさまじい勢いで跳ね上がっている。
それ以降も52.0、59.2、60.0、45.0…と連日、高濃度の放射線量を記録している。
4月になると10マイクロシーベルト台に下がり、5月15日の15.5マイクロシーベルトが最後になっている。その時点での累積放射線量は18233マイクロシーベルトという桁外れの放射線量だ。
東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故は、チェルノブイリと同様、最高レベル7の原発事故。長泥十字路の掲示板はその事故のすさまじさを物語っている。
飯館村からさらに国道399号を北上し、伊達市に入る。飯舘村と伊達市の境も峠。名無しの峠で、飯館村側はゆるやか、伊達市側は急勾配の峠道だ。
国道349号と合流し、重複国道となって保原の町に入っていく。そこからふたたび国道399号の単独ルートになり、国道沿いの「あぶくま食堂」で昼食にする。「フライ定食」を食べたが、エビフライや唐揚げ、コロッケはうまかった。
国道399号で阿武隈川の伊達橋を渡り、奥州街道の瀬ノ上宿で国道4号に出た。