みなさ〜ん、ぜひとも書店で、『2021年版ツーリングマップル東北』を手にとって見てください。ぼくの1年かけた苦労が、この1冊に実っています。
テーマで巡った2021年版取材
2021年版の『ツーリングマップル東北』の実走取材は、昨年の3月11日に始まり、11月16日に終わりました。
相棒のVストローム250を走らせ、いくつかのテーマを設けて、東北各地を駆けめぐりました
それらのテーマというのは、「鵜ノ子岬→尻屋崎」、「東北一周」、「奥羽山脈の峠越え」、「大河源流行」、「混浴温泉めぐり」、「林道走破行」、「白河探訪」というものです。
「鵜ノ子岬(福島)→尻屋崎(青森)」では、東北太平洋岸最南端の鵜ノ子岬から東北太平洋岸最北端の尻屋崎まで走り、東日本大震災で大きな被害を受けた東北太平洋岸の全域を見てまわりました。
「東北一周」では陸奥と出羽の国府をめぐり、本州最北端の大間崎と津軽半島最北端の龍飛崎まで行きました。
「奥羽山脈の峠越え」では、白河から青森まで、32峠を越えました。東北の背骨となる奥羽山脈は、太平洋と日本海に分ける中央分水嶺になっています。峠を越えるごとに、東北が見えてきます。
「大河源流行」では、阿武隈川と北上川の東北二大大河の流れを追いました。阿武隈川は源流から河口へ、北上川は河口から源流へと、Vストローム250を走らせました。
「混浴温泉めぐり」は、東北ならではの大いなる魅力です。東北には混浴温泉が何湯もありますが、東北には混浴文化がしっかりと根づいています。
「林道走破行」では、南会津の林道群を走りました。一昨年の台風の影響で、大荒れの林道が何本もありましたが、1日も早い復旧を願うばかりです。
「白河探訪」では、JR白河駅北側の小峰城、南湖公園と見てまわりました。ちょうど紅葉の最中で、東北の見事な紅葉を見ることができました。
表紙撮影に挑んだ3日間
これらのテーマでまわった東北の写真は、2020年版までは小冊子で見ていただきましたが、2021年版からは本誌の写真ページになっています。この写真ページはすごくいいですよ。
長期の実走取材の中でも、8月11日から8月13日までの「表紙撮影」は、一番のハイライトです。カメラマンの巣山悟さんと白河から青森まで走りました。その3日間は次のようなものです。
(第1日目)
表紙撮影は国道115号旧道の土湯峠から始まった。抜けるような青空で、今年も巣山カメラマンとの旅は天気に恵まれる。奥羽山脈の峠を越えながら、表紙撮影のポイントを探していくのだが、猪苗代湖越しに見る磐梯山は目に残った。奥羽山脈の御霊櫃峠の頂上からは猪苗代湖を見下ろした。御霊櫃峠は今ではロードバイクでも走れる舗装林道だ。鳳坂峠、甲子峠を越え、白河ICからは東北道で白石ICへ。白石温泉に泊まったが、赤々と夕日に染まった白石川の流れが目に残った。
(第2日目)
この日の表紙撮影は白石川の滑津大滝から始まった。東北を代表する名瀑だ。羽州街道の金山峠を越える。東北の山々の濃い緑を見ながら走る。東北の自然を存分に味わえる峠越えだ。上山から蔵王エコーラインで山形・宮城県境の刈田峠へ。峠周辺は数メートル先も見えない濃霧。宮城県側に下ると、霧は晴れ、青空が見えてくる。峠を境にしての劇的な変化。蔵王の名瀑、「不動の滝」と「三階の滝」を見て、笹谷峠、鍋越峠、鬼首峠を越えて秋田県に入った。ここでも峠を境にして天気は変わり、秋田県側は豪雨の様相。秋の宮温泉に泊まれてよかった!
(第3日目)
最終日は「青森まで行こう!」と、秋の宮温泉郷を5時前に出発。前夜の豪雨の名残で雲が低い。十文字の町から大森峠へ。ありがたいことに大森峠を越えるころには天気は回復した。つづいて巣郷峠、仙岩峠を越え、西根(八幡平市)から八幡平アスピーテラインを走った。青空を背にした岩手富士の岩手山の美しさといったらなかった。八幡平から花輪盆地に降りたが、稲田の向こうに連なる奥羽山脈の山並みは目に焼きついた。発荷峠を越え、夕日に照らされた十和田湖を見た。絶景だ。最後の峠、八甲田の傘松峠を越え、青森駅前の到着したのは19時30分だった。
表紙撮影で巣山カメラマンは600枚以上の写真を撮りましたが、そのうち通常版の表紙を飾ったのは第3日目の写真で、奥羽山脈の大森峠を越え、岩手県側の国道397号を下っている途中のワンカットです。緑のトンネルを走り抜けていく気分は最高でした。
R版の表紙を飾ったのも第3日目の写真で、登山口の馬返しから見る岩手山です。裏表紙は八幡平アスピーテラインから見る岩手山。岩手富士(南部片冨士)の岩手山はどこから見ても絵になる東北の名山です。
このほかの表紙候補になった写真も見て下さい。
阿吽の呼吸が裏目に出た!?
今年の巣山カメラマンとの表紙撮影で忘れられないのは、その出会いです。
我々は8時に東北道の白河ICで落ち合う約束をしたのですが、時間になっても巣山さんは来ません。時間に正確な人で、どんな時間でも、どんな場所でも、ドンピシャで待ち合わせポイントに来てくれる時間に正確な巣山カメラマンなので、8時ピッタリに電話しました。
「もしもし、巣山さん、今どこ!?」
「カソリさん、おはようございます。料金所を出たところで待ってますよ」
「え〜? 巣山さん、ぼくもいつものように、料金所を出たところにいますよ!」
ここで初めて、我々は待ち合わせ場所を間違えたことに気が付いたのでした。
白河と白石。
カソリは福島県の白河ICだと思い込んでいたし、巣山カメラマンは宮城県の白石ICだと聞き違えたようなのです。
「賀曽利&巣山」は阿吽の呼吸で、簡単な電話一本でお互いにわかり合うことができるので、確認し合うようなこともないので、起きてしまったトラブルのようです。
このあとの「賀曽利&巣山」は凄いですよ。
即断即決。
間髪を入れず、巣山さんには「集合場所を変えましょう。東北道の福島西ICにしましょう。集合時間は9時でお願いします!」と伝えました。
白河ICから85キロ走り、福島西ICに到着したのは9時。集合場所を福島西ICに変えたのは大正解でした。まさに「巣山日和」で、福島の上空は抜けるような青空。吸い込まれそうになるほどの青さなのです。国道115号で土湯峠へ。ここで巣山カメラマンは大満足の写真を何枚も撮ることができました。
ということで、奥羽山脈の峠越えの第1日目は、じつにおもしろい旅のドラマでした。
みなさん、ぜひとも『2021年版ツーリングマップル東北』を持って、東北を駆けまわってくださいね。東北でお会いしましょう〜!