2010年6月20日

食は台湾にあり!

高雄の中心街を走る

 アドレスV125Gで台湾第2の都市、高雄の中心街を走る。

「高雄」というと、有村ラインの大型フェリー「飛龍」を思い出す。名古屋、大阪から那覇、石垣を経由して台湾まで行っていたが、その終点が高雄だった。

 2000年の「韓国一周」を皮切りに、「さー、これからは日本の近隣諸国をまわろう!」と熱い気持ちにかられた。そのとき台湾をバイクで一周したくて、何度かトライしたが、結局実現できなかった。日本から台湾にバイクを持ち込むのは難しかった。

 今、こうしてアドレスで高雄を走っていると「やったねー!」という気分になる。

 長年の夢を実現させたような気分になる。

 高雄のレストランで昼食。台湾料理は全部で9品。

「食は台湾にあり!」

 我々は9品の台湾料理を食べ尽くした。

 食べ終わると、高雄の中心街にある台鈴のショールームへ。「台鈴機車」と大きく書かれている。台湾では「機車」といえばバイクのこと。車は「汽車」で、列車は「火車」になる。

 ショールームでは台鈴の主力車種のNEXがスポットライトを浴びて展示されている。

 広いショールーム内には新車がズラリと並んでいる。

 ここでは美人コンパニオンに台湾フルーツの蓮霧(レンブー)を出してもらった。それとパイナップル。それらは昼食後のちょうどいいデザートになった。

「ご馳走さま!」

 台鈴のショールームでは、サポート隊の隊長、李さんとしばしの歓談。西方さんが通訳してくれるのだが、李さんはかなり日本語が話せるので、通訳なしでもお互いに十分にわかりあえる。

 李さんはかつては台湾のスクーターの大手メーカー、「三陽機車(SYM)」に勤めていたが、今では台鈴を支えるような重要なスタッフになっている。能力はあるし、何しろ人柄がいい。明るいし、パワーがある。

 李さんのおかげで「台湾一周」はすごく楽しいものなった。李さん、ありがとう!

 台鈴のショールームを出発し、高雄のもう1軒のスズキの販売店を訪問。そこでも大勢のみなさんに出迎えられた。販売店の社長にはカラフルな箱に入った台湾茶をプレゼントされた。行く先々で台湾人の穏やかさ、暖かさにふれ、それが心に残り、どんどん積み重ねられていく。

 ここでも何人ものライダーたちが「カソリさんと一緒に走りたい!」といってくれる。そんなみなさんと一緒に高雄を出発。次の目的地、車城の福安宮に向かった。

 青空のもと、アドレスV125Gで亜熱帯の空気を切り裂いて走る気分はたまらない。

 右手に台湾海峡、左手に台湾山脈の山並みを眺めながら走る。坊寮を過ぎ、台湾東海岸の台東への道が分岐する楓港を過ぎたところで車城の町に入っていく。

 車城では福安宮を参拝。大駐車場には何台もの観光バスが停まっている。福安宮前には大きなホテルも建っている。台湾中から多くの参詣者を集める福安宮だ。

 山門をくぐり、見事な龍の石彫のある石段を登っていく。福安宮の内部はまばゆいばかり。何体もの神々がまつられている。

 参拝を終えると門前の店で温泉卵を食べる。アヒルの卵のようだ。温泉というのは車城近くの四重渓温泉のことなのだろう。四重渓温泉は台湾最南の温泉で知られているが、飲用もできる炭酸泉で、胃腸病にはよく効くという。温泉卵につづいて、緑豆のかき氷を食べた。

 高雄から一緒に走ってきたみなさんとは福安宮で別れ、車城の町から南下し、台湾の町(鎮)では最南の恒春に到着。町中に入っていく。ここは古い町で、清朝時代の光緒元年(1875年)に構築された城壁が残っている。この城壁には東西南北の4門がある。そのうちの西門に行く。

 この西門は台湾の大ヒット映画「海角七号」のロケ地で、次から次へと観光客がやってくる。若いカップルが多い。その西門をアドレスで走り抜け、西門にある緑ポストから映画のシーンと同じように投函(の真似を)した。

 恒春から台湾最南端の鵝鑾鼻を目指してさらに南下。鵝鑾鼻に近い墾丁のリゾートホテル、「福容大飯店」(Fullon Resort)で泊った。

 墾丁は台湾一といってもいいような大リゾート地。街道沿いにはリゾートホテルやレストラン、土産物店などが建ち並んでいる。

 1976年に列車とバスを乗り継いで台湾を一周したことがある。その時、鵝鑾鼻まで行ったが、墾丁は観光的色彩のまったくない南国の片田舎に過ぎなかった。このようなリゾートホテルは1軒としてなかった。そんな墾丁のあまりの変わり方には驚かされた。

 台湾最南のリゾート地、墾丁を歩く。まるで不夜城のようだ。無数のネオンが光り輝いている。ものすごい人出。車道まではみ出した人の波が際限なくつづいている。

 まさに夜市といったところで、雑貨や衣類、サトウキビのジュース、フルーツジュース、饅頭、揚げパン、鶏の丸焼き、アヒルの炙り肉、魚餅などなど、もう無数といっていいくらいの屋台が出ている。それらをひとつづつ、のぞいていくのは楽しい。

 大通り沿いには「巴士海峡」という名の旅館があった。

 巴士海峡というのは台湾とフィリピンのルソン島との間のバシー海峡のことだ。その看板を目にした瞬間、夢はさらに南の世界へと飛んでいく。

 いつの日か九州から沖縄へ、そして台湾からフィリピンの島々、ボルネオ島、さらにはインドネシアの島々へ、南へ南へと「海上の道」を行きたくなった。

 墾丁にはレストランは何軒もある。そのうち、我々が入ったのはタイ料理店。タイの歌を聞きながら、タイのダンスを見ながらタイ料理のを食べた。最後はエビ入りの「トムヤムクン」。何とも忘れられない墾丁の夜となった。