賀曽利隆の観文研時代[91]

讃岐うどん(3)

1986年

「讃岐うどん」の食べ歩きは、高松から始まった。

 高松の町を歩いていて目につくのは、「うどん」、「手打ちうどん」、「讃岐うどん」、「饂飩屋」といった、うどんの看板を掲げた店の多いことだ。東京ならばあたりまえに見られる「そば屋」の看板はほとんど目に入らない。

 高松では朝、昼、夜と1日3食、うどんを食べた。

 何軒もの「うどん屋」に入り、老舗の「かな泉」や「宗平」にも入った。

「釜揚げうどん」や「きつねうどん」、「あなごうどん」…と讃岐うどんを食べ歩いたが、炎天下を歩いて、歩き疲れて食べた「冷やしうどん」や「ざるうどん」のさっぱりした味は忘れられない。

「さ、また歩こう!」
 という元気を与えてくれた。

 高松駅の駅構内でも讃岐うどんを食べた。

 店のメニューは次のようなもの(1986年当時)だ。

  かやくうどん  220円
  冷やしうどん  220円
  きつねうどん  240円
  月見うどん   250円
  天ぷらうどん  330円
  肉うどん    380円

 このようにメニューはうどん一辺倒だ。

 東京の駅構内の「立ち食いそば店」だったら、そばとうどんを食べられる。ところが、高松駅の「立ち食いうどん店」で食べられるのはうどんのみ。そばは食べられない。

 ここでは一番安い「かやくうどん」を食べた。

 竹輪と鳴門が入っただけのシンプルなものだが、よけいなものが入っていないだけ、うどんの味の良さがひときわひきたっていた。

釜あげうどん
釜あげうどん
あなごうどん
あなごうどん
きつねうどん
きつねうどん
冷やしうどん
冷やしうどん
ざるうどん
ざるうどん