第1回目(15)2011年5月10日-20日
巨大防潮堤がなぎ倒されていた
越喜来(大船渡市)から国道45号を行く。
羅生峠を越えると吉浜湾の吉浜だ。ここでは吉浜川の河口まで行った。堤防は大津波にやられ、大きく破壊されている。それにもかかわらず吉浜の集落にはほとんど被害が出ていない。理由は昭和三陸大津波(1933年)のあと、集落を高台に移転したからだ。
吉浜川の河口から「津波石」が見つかった。
昭和三陸大津波の記録が彫り刻まれている「津波石」は、今回の平成大津波で土砂が取り除かれ、地表に姿を現したのである。
吉浜からは国道45号の鍬台峠を越えて釜石市に入る。これら国道45号の峠はすべて長いトンネルで貫かれているが、峠のトンネルを抜けるたびに海が変る。
鍬台峠を越えると唐丹湾だ。
唐丹湾岸の小白浜では巨大防潮堤がなぎ倒されていた。まるでブロック細工が壊されたかのようなやられ方。この破壊された巨大防潮堤を見ると大津波のすさまじさを実感するが、その反面、半分はきれいに残っているので工事に手抜きはなかったのか…といった思いにもとらわれてしまう。
釜石に到着。
町の入口にある「鉄の博物館」は休業中で、駐車場は自衛隊の災害派遣の車両で埋め尽くされていた。
海岸近くにある「釜石大観音」(拝観料500円)は営業中。大観音像の展望室からは釜石湾を一望する。湾口にある世界でも最大級の防波堤は粉々に破壊されていた。
釜石の中心街も激しくやられた。多くの建物は残ったが、店内はメチャクチャ。足の踏み場もないような状態だ。
釜石港の岸壁には中国船(パナマ船籍)の「ASIA SYMPHONY号」が乗り上げていた。堤防を突き破った大型の貨物船をどうやって海に戻すのか。日本にこれだけ大きな船をつり上げるクレーン船はあるのだろうか。