2025年6月2日

さざなみ街道を行く

 塩津の道の駅「塩津あぢかまの里」を出発。3台のVストローム250SXを走らせ、我々は最北の琵琶湖を見る。ここでは「海だ、海だ!」と叫んだ。琵琶湖は海のような広さ。水平線が見える。ひとつ海と違うのは波がないことだ。湖面はとろーんとしている。

 最北の琵琶湖を見て、国道8号の賤ケ岳のトンネルを抜け出たところで県道44号に入り、琵琶湖岸のさざなみ街道を行く。

 県道44号から県道331号に入ったところでは、道の駅「湖北みずどりステーション」で小休止。ここでは湖北のイチゴを買って食べた。

 湖北の中心地、長浜からさざなみ街道は県道2号になり、道の駅「近江母の郷」で止まった。ここでは「鮒ずし」を買った。

 琵琶湖産のニゴロウブナやゲンゴロウブナを使った鮒ずしは、現存するすしの中では日本最古のものといわれている。塩漬けにした鮒をさらに飯(い)ずしにしたもので、できあがるまでに、何ヵ月もの日数がかかる。独特の臭みがあるので、食べられない人もいる。酒の肴には最適。今ではすしというと、江戸前の握りずしを思い浮かべる人も多いが、握ったすし飯の上に新鮮な江戸前の具をのせた握りずしは、長いすしの歴史からみたら新参者でしかない。

 すしというのはインドシナの山岳地帯が発祥の地といわれるが、本来は山のもので、川魚や獣肉を長い期間、飯に漬け込んで発酵させた保存食なのである。一言でいえば川魚や獣肉の漬物だ。気の短い江戸っ子は本来のすしとは似ても似つかない握りずしをつくったが、それが大ヒット。今では世界中で人気だ。「鮒ずし」はその原型。食の文化財といっていいほどのものなのである。

 県道2号で米原市から彦根市に入ったところでは、クラブ・ハリエのパン工房「ジュブリルタン」に寄っていく。カフェでコーヒーを飲みながら3個のパンを食べた。

 琵琶湖岸の道は県道2号から県道25号に変わり、下石寺町(彦根市)では琵琶湖岸の「あのベンチ」に座った。大きく枝を広げた木の下にあるベンチで、ここに座わると絵になるシーンが撮れるという人気の「あのベンチ」。

 県道25号で近江八幡市に入ると、建築家ウォーリズの建物が残る町中を走り抜け、クラブ・ハリエの「ラ・コリーナ近江八幡」に行く。広大な敷地にびっくり。様々なスウィーツが売られている。ここでは焼きたてのバームクーヘンを食べた。

 近江八幡からは野洲川を渡って守山市に入り、守山の町を走り抜けていく。「琵琶湖一周」ままだ道半ば。まだまだつづく。