房総半島一周(後編)

2025年2月21日

「房総半島一周」2日目の2月21日。目覚めるとすぐに白子温泉のホテル「カアナパリ」の朝湯に入る。大浴場と露天風呂の湯にどっぷりつかる。塩分を含んだ茶色の湯。朝食を食べて8時に出発だ。

 Vストローム250SXを走らせ、県道30号を北へ。この県道30号は九十九里浜沿いのルートだが、海は見えない。そこで蓮沼(横芝光町)では海浜公園まで行き、長くつづく九十九里浜の砂浜を歩いた。

 県道30号は横芝光町から栗山川という小さな川を渡って匝瑳市に入るが、この川にかかる屋形橋が上総と下総の国境。屋形橋を渡って下総に入った。下総に始まり、上総、安房、上総と通ってまた下総に入る「房総半島一周」だ。

 太東崎から長くつづいた県道30号は飯岡で国道126号と合流する。

 富津岬から9番目の刑部岬で九十九里浜は尽きる。刑部岬の展望館からは飯岡漁港を見下ろす。その向こうには太東崎へと際限なく延びる九十九里浜を一望する。ここは九十九里浜を一望するのには絶好の展望ポイントだ。

 国道126号から房総半島突端の小半島、銚子半島に入っていく。ここは見所満載。「日本のドーバー」といわれる屏風ヶ浦の断崖を見て、外川漁港から銚子半島南端の長崎鼻へ。そこには灯台が立っている。

 銚子電鉄の終点、外川駅の待合室で缶コーヒーを飲んで一息入れ、「地球の丸く見える丘展望館」のある愛宕山へ。標高73メートルの愛宕山は下総の最高峰。日本の旧国の中でも一番低い最高峰になる。下総には山がない。それを証明するかのような愛宕山。三角点の建つ山頂には愛宕神社の祠が祀られている。

 さらにいえば千葉県の最高峰は上総・安房国境の愛宕山(408m)になるが、日本の47都道府県の最高峰の中ではやはり一番低い。高い山がないのが千葉県だ。

「地球の丸く見える丘展望館」から360度の大展望を見たあと、房総半島突端の犬吠埼へ。犬吠埼灯台に登って銚子半島を一望する。足下の岩場地帯や北側の君ヶ浜、南側の長崎鼻、西側の屏風ヶ浦を見渡す。太平洋の大海原がはてしなく広がっている。

 犬吠埼では「犬吠埼ロカ岬友好記念碑」を見る。碑には「海終わり 陸始まる」と彫り刻まれている。それはユーラシア大陸最西端のロカ岬に立つポルトガルの詩人ルイス・デ・カモンイスの「ここに地終わり 海始まる」の詩碑を引き継いだもの。2002年にDR−Z400Sで走った「ユーラシア大陸横断」が懐かしく思い出されてくるのだった。

 犬吠埼を出発。君ヶ浜を過ぎたところで利根川の河口を見て銚子漁港へ。漁港前の魚料理の店「いくり」で「刺身定食」を食べ、銚子の中心街に入っていく。

 坂東33ヵ所第27番札所の圓福寺(飯沼観音)を参拝。ここの本尊の十一面観音は海の中から現れたという。毎夜のように海中から金色の光りが差し、銚子の海を明るく照らすので人々が怪しんでいると、清六と長蔵という2人の夢の中に観音が現れ、「網を海に入れて引き上げよ」とのお告げがあった。その夢の通りに網を入れると、高さ60センチほどの観音像が上がったという。境内には大仏と五重塔がある。銚子の町はこの飯沼観音の門前町として発展した。

 圓福寺から銚子駅へ。ここを「房総半島一周」のゴールにする。「市川→銚子」は359キロになった。

 銚子からは利根川沿いの国道356号を行く。下総一宮の香取神宮へ。利根川をはさんで常陸一宮の鹿島神宮と相対している。杉の古木がうっそうと茂る参道を歩き、豪壮な造りの楼門をくぐり拝殿へ。参拝を終えると、門前の茶店「梅乃家本店」で名物の「草だんご」を食べた。

 香取神宮からは古い町並みの残る佐原へ。ここでは「伊能忠敬記念館」を見学し、忠敬の日本地図を見た。

 佐原からさらに利根川沿いの国道356号を行く。神崎、栄、印西と通り、安孫子で国道6号に合流。そこから国道6号で東京・日本橋に戻った。日本橋からは首都高→東名→新東名で伊勢原大山ICへ。伊勢原の自宅に帰り着いたのは20時。全行程639キロ1泊2日の「房総半島一周」だった。