みなさん、あけましておめでとうございます。
2017年の「70代編日本一周」、2018年の「日本一周・第2部」とスズキのVストローム250で77179キロを走りましたが、2019年も同じVストローム250で日本中を駆けめぐり、走行距離は12万キロを超えました。「目指せ、20万キロ!」で、2020年の新年早々、「岬めぐりの伊豆半島一周」に行ってきます。
「全国の一宮めぐり」を達成
2019年を振り返ってみてすごくうれしかったのは、ついに、「全国の一宮めぐり」を達成したことです。
「70代編日本一周」では日本の47都道府県に足を踏み入れ、47都道府県庁所在地を通過し、「日本本土四極」の納沙布岬(北海道)、宗谷岬(北海道)、神崎鼻(長崎)、佐多岬(鹿児島)の東西南北端に立ちました。
「70代編日本一周」で、ぼくがそれ以上にこだわったのは日本の旧国。今回の日本一周では、「五畿七道」の68ヵ国に足を踏み入れたのです。佐渡、隠岐、壱岐、対馬、淡路の島国5国にも渡りました。
バイク旅の良さは国境がよくわかることで、国境では必ずバイクを止めるようにしまた。峠や大河のようなわかりやすい国境はいいのですが、たとえば伊豆と駿河のような通り過ぎたのも気がつかないような国境では、何度も行き来しました。そして旧東海道の幅2、3メートルほどの川(境川)が国境になっているのを確認するのでした。
ぼくが日本の旧国を面白がるようになったのは、民俗学者の宮本常一先生が所長をされていた日本観光文化研究所で、日本を歩かせてもらうようになった30代の頃からのことです。地図を見ると、まずは旧国の国境に赤線を引きました。日本を旧国単位で見ていく方が、はるかに面白いということがわかったからです。たとえば静岡県だったら伊豆、駿河、遠江で、愛知県だったら三河と尾張で、岐阜県だったら美濃と飛騨で見ていくという旅の方法です。
「50代編日本一周」(1999年)と、それにつづく「島めぐり日本一周」(2001年〜2002年)で、日本の旧国68ヵ国をまわりました。それのみならず旧国のシンボルとして、それぞれの国の一宮、68社をめぐったのです。驚かされたのは68ヵ国のすべてに千何百年という歳月を乗り越えて一宮が残っているということでした。何という生命力の強さ。それ以降、カソリの「一宮めぐり」は始りました。
というのは一宮は1国1社ではなく、複数社の国も多くあるのです。カソリのカウントでは68ヵ国に全部で104社あります。ということで、ことあるごとに日本各地の一宮をめぐるようになりました。そして、ついに100社を超えたのです。残るのは越中の一宮の雄山神社と、出羽の一宮の大物忌神社。ところがこの2社が大変。雄山神社は立山の山頂、大物忌神社は鳥海山の山頂にまつられています。
ここでなんともありがたい助っ人の登場。ツーリングライダーであり、登山家でもあるトドデスさんとチョビデスさんのご夫妻が一緒に立山と鳥海山を登ってくれたのです。
2019年7月26日、まずはそのうちの越中の一宮、雄山神社に向かいました。
里宮の2社、岩峅寺の雄山神社(前立社壇)と芦峅寺の雄山神社(中宮祈願殿)を参拝し、立山の玄関口の立山駅へ。ここでトドデスさん、チョビデスさん夫妻と落ち合い、ケーブルカーと高原バスで標高2450メートルの室堂まで行きました。室堂から立山登山が始まりました。夫妻に助けられて、ヒーヒーハーハーいいながら標高2690メートルの一ノ越まで登り、急坂を攀じ登って雄山の山頂に立ったのです。立山は雄山(3003m)、大汝山(3015m)、富士ノ折立(2999m)の3峰から成っていますが、そのうちの雄山山頂に雄山神社の本宮がまつられているのです。
雄山の山頂に到達したときは、もう感動の瞬間でした。そこからは北アルプスの後立山連峰の山々を一望。すぐ近くまで雷鳥の親子がやってきました。雄山神社の本宮で若い神主さんにお祓いをしてもらったのです。
2019年8月30日、104社目となる出羽の一宮、大物忌神社に向かいました。
里宮の2社、蕨岡口の宮と吹浦口の宮を参拝し、鳥海ブルーラインで鳥海山五合目の鉾立へ。鉾立の「鉾立山荘」に泊まりました。
翌朝、トドデスさん、チョビデスさん夫妻と落ち合い、鉾立の登山口から鳥海山を登り始めました。「御浜小屋」を過ぎると稜線上の山道になり、猛烈な風に吹かれました。もう風に吹き飛ばされないようにするので精一杯。大きな雪渓を渡り、最後に大岩がゴロゴロしている急坂を登り、山頂(2236m)直下の「御室小屋」に到着。ここに大物忌神社の本社がまつられているのです。104社目の一宮を参拝し、一晩、「御室小屋」に泊まりました。山小屋での夕食のあと、個室での宴会開始。トドデスさん、チョビデスさんには感謝、感謝です。
こうして「一宮めぐり」はひとまず終えますが、また新たな気持ちでこれからも日本全国の一宮をめぐろうと思っています。
ということでカソリ、2020年もさまざまなテーマで日本を世界を駆けめぐろうと思っています。みなさん、本年もよろしくお願いします。
賀曽利隆