カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

新年のごあいさつ

投稿日:2022年1月1日

みなさん、あけましておめでとうございます。

 昨年5月31日の事故では、危うく命を落とすところでした。

 午前6時10分頃のことでしたが、東北道佐野藤岡IC近くの3車線区間下りの真中の車線をVストローム250で走行中、右側から車線変更をしてきた車にぶつけられ、吹っ飛ばされました。路面にたたきつけられ、10回転ぐらいして立ち上がりました。

 何が何だか、まったくわかりませんでしたが、「自分は生きている!」ということだけははっきりとわかりました。さすが「不死身のカソリ」。

 救急車で足利赤十字病院に収容されました。

 全身を強打しましたが、頭部にはまったく異常はありませんでした。「頭さえしっかりしていれば大丈夫!」。足も大丈夫。両手がひどくやられましたが、ラッキーなことに右手は動きます。足利赤十字病院に駆けつけてくれた息子の車で、いったん神奈川県伊勢原市の自宅に戻ると、地元の伊勢原協同病院に入院。左手の手術を受けました。左手の5本の指のうち4本が折れ、金属を入れて固定し、腱をつなぎ合わせてもらったのです。骨折が左手だけですんだのはじつにラッキーなことでした。さすが「強運カソリ!」。

 事故から51日目の7月20日にはギブスも取れ、リハビリが始まりました。一日も早くバイクに乗りたいという一心で、リハビリに励みました。そのおかげもあって、事故から77日目の8月16日、ついにバイクに乗れるようになったのです。

 カソリの奇跡の復活です。ジクサーSF250に乗って東北へ。2泊3日で福島を一周。1129キロを走り、最後は白河ICから東北道で東京に向かいましたが、佐野藤岡IC近くの事故現場を通過したときは感無量でした。

『ツーリングマップル東北』の1ヵ月間の実走取材を終えることができてほんとうによかったです。その中でも一番のハイライトシーンは、カメラマンの巣山悟さん同行の3日間の表紙撮影です。

会津のシンボル磐梯山を見る(撮影:巣山悟)

会津のシンボル磐梯山を見る(撮影:巣山悟)
磐梯吾妻スカイラインを走る(撮影:巣山悟)

磐梯吾妻スカイラインを走る(撮影:巣山悟)

 8月26日8時、東北道の白河ICで巣山悟さんと合流すると、白河から国道289号で甲子峠を越えて下郷へ。下郷からは会津西街道の旧道で大内宿まで行き、宿場内を歩きました。氷玉峠を越えて国道118号に出ると、会津鉄道の芦ノ牧温泉駅に立ち寄りました。ここはネコが名誉駅長を務める駅。ネコ神社もあります。駅前の「牛乳屋食堂」売店の濃厚な味わいソフトクリームは絶品でした。

 会津若松では鶴ヶ城の天守閣に登り、会津盆地をとりまく山々を一望しました。そして国道49号で猪苗代湖へ。猪苗代湖から磐梯山に向かって走ると、「おー、これぞ会津!」と思わず声が出ます。磐梯山麓の押立温泉の国民宿舎「さぎの湯旅館」に泊りましたが、湯から上がると巣山カメラマンと生ビールで乾杯。温泉よし、食事よしの「さぎの湯旅館」でした。

 第2日目は磐梯山ゴールドライン、西吾妻スカイバレー、レークライン、磐梯吾妻スカイラインの「福島4大ルート」を走りました。天気にも恵まれ、東北の絶景ルートを存分に楽しむことができました。磐梯吾妻スカイラインから福島市内に下ると、東北中央道で相馬へ。JR常磐線の新地駅前のホテルに泊まりました。ここも温泉宿。「つるしの湯」から上がると、刺身やホヤを肴に会津の名酒「栄川」を飲むのでした。酒宴も楽しかったですが、そのあとのピザ(マルゲリータ)を食べ合ったのも楽しい思い出。

 第3日目は福島県の太平洋岸の「浜通り」を南下しました。楢葉町の天神岬では『ツーリングマップル関東』を担当している中村総一郎さんとの出会い、さらに久之浜の殿上崎ではセローに乗る坂本夫妻に出会ったのです。中村さん、坂本夫妻と一緒にいわき市内の岬をめぐり、東北と関東の境の鵜ノ子岬に立ち、2泊3日の旅を終えたのです。

『ツーリングマップル東北』の1ヵ月間の実走取材では、相棒のジクサーSF250で全行程8524キロを走りました。東北を一周することができ、東北の全式内社をめぐることができました。

 式内社は平安時代の「延喜式」の『延喜式神名帳』に記載されている神社のことですが、日本中に3132座あります。式内社は名社の格付けのようなもので、いずれも1000年以上の歴史があるのです。そのうち東北には陸奥国に100座、出羽国に9座ありますが、陸奥国最北の式内社は志賀理和気神社(岩手県紫波町)、出羽国最北の式内社は副川神社(秋田県八郎潟町)で、簡単にいうと盛岡と秋田を結ぶ線あたりまでが大和朝廷の勢力圏だったということなのでしょう。

 東北の式内社の中には東日本大震災の大津波で流され、社殿の土台だけが残っている浪江町の神社や、地元の人たちに聞いても誰も知らないような陸前高田の3社もありました。陸前高田の式内社3座は氷上山(873m)の3峰、東御殿、中御殿、西御殿のそれぞれの山頂に祀られていることをつきとめました。麓の古社、氷上神社を参拝しましたが、今度は氷上山の三峰に登らなくてはなりません。

 東北道の事故で大破したVストローム250ですが、半年以上かかった修理がほぼ終わり、新年早々にも引き取れそうです。2017年の「70代編日本一周」で2万5296キロ、翌年の「70代編日本一周」第2部では6万3648キロを走ったVストローム250ですが、ここまでの走行距離は15万9386キロ。何としても20万キロを達成したいのです。まずは新春ツーリングで16万キロを達成させようと思っています。

 それとジクサー150です。

 ジクサー150での「分割日本一周」は2017年3月に開始しましたが、これまでに「中国一周」、「九州一周」、「東北一周」、「北海道一周」、「関東一周」、「中部一周」、「関西一周」、「四国一周」を終えています。今年は「奄美・沖縄」をメインにしての「西日本一周」を走り、5年がかりの「分割日本一周」を終えようと思っています。

 カソリは今年もガンガン走ります。
 
 2022年がみなさまにとってより良い年となりますよう心より祈っています。

2022年1月1日
賀曽利隆

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