カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

ジクサー150分割日本一周[260]

投稿日:2021年11月19日

北海道一周編 78(2020年4月18日)

神威岬灯台の灯台守の話

 神威岬の「神威岩」を見たあと、「神威岬灯台」に戻る。その案内板には「この灯台は北海道庁が明治21年(1888年)から6年間にわたって20基の灯台を建設した最初の灯台であり、明治21年(1888年)8月25日に初点灯しました。北海道に現存する灯台では5番目に古いものです」とある。

 神威岬灯台にはその歴史が次のように書き記されているが、灯台守の話には胸がジーンとしてしまう。

「恨みますぞいお神威さまよ、なぜに女の足をとめる」(江差追分)
 ここ神威岬は風光明媚な景色を人々に堪能させてくれる一面、古くから西蝦夷三険岬の一つとして、航海の難所として知られています。
 灯台ができた明治21年(1888年)には職員3名が勤務し、灯台にたどり着くには余別の集落から片道4キロもの険しい山道を登ったり、降りたりしていました。
 特に岬に近づくと崖が続き、一歩踏み外せば海に落ちてしまう怖いところが何箇所もあり、子供や女性にとっては困難を極め、灯台の職員家族や灯台を訪れる人は、海岸の大きな石を跳びはねながら伝って歩くのが普通でした。
 生活は天水を貯め、これを生活水として利用し、電気のない時代ですのでランプを灯し、食料は自給自足が欠かせなかったようですが、米、味噌、醤油、塩といった日用品は木船の備船で買出ししていました。

「南無阿弥陀仏、ナムアミダブツ、なむあみだぶつ」
 大正元年(1912年)10月の天皇誕生日に灯台長婦人と3歳の次男、補助員の奥さんがお祝いの食料品を買出しに余別まで行く途中、大波に飲み込まれて行方不明になってしまいました。
 村人たちはこれに心を痛め協力してトンネルを掘ることになり、手にタガネ、ハンマー、そして掘り出した岩を運ぶモッコなどの道具をもって集まり、光が届かない真っ暗な中、一ノミ、一ノミと掘り続け、7年の歳月をかけ大正7年(1918年)に心暖まるトンネル(念仏トンネルと呼ばれています)が完成し、灯台職員や家族、そして灯台を訪れる人たちの安全が守られました。
 神威岬灯台は昭和35年(1960年)の無人化になるまで、職員90人とその家族により守られてきました。

神威岬の「神威岩」神威岬の「神威岬灯台」「神威岬灯台」の案内板

神威岬の「神威岩」 神威岬の「神威岬灯台」 「神威岬灯台」の案内板

「神威岬灯台」を振り返って見る神威岬の遊歩道を歩く遊歩道から見る積丹半島の西海岸

「神威岬灯台」を振り返って見る 神威岬の遊歩道を歩く 遊歩道から見る積丹半島の西海岸

 神威岬灯台を出発。遊歩道を歩いて駐車場まで戻ると、ジクサー150に乗って国道229号まで一気に下っていく。国道に出ると左折し、余別方向に走ったところにある「うしお」で昼食。ここでは奮発して「生うに丼」(3500円)を食べた。色鮮やかな生ウニが丼飯を覆い尽くしている。トロリとしたとろけるような生ウニの食感がたまらない。

国道229号沿いの「うしお」「うしお」の「生うに丼」生ウニが丼飯を覆い尽くしている

国道229号沿いの「うしお」 「うしお」の「生うに丼」 生ウニが丼飯を覆い尽くしている

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