カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

ジクサー150分割日本一周[252]

投稿日:2021年11月2日

北海道一周編 70(2020年4月17日)

北海道遺産の「増毛山道」

 増毛を出発し、国道231号で日本海の海岸線を南下する。別苅バス停の近くに北海道遺産の「増毛山道」の入口があった。そこに立つ案内板には次のように書かれている。

 江戸時代に和人が蝦夷地に定着していく中で、各地に散らばる漁場間をつなぐため、徐々に陸上の道路が整備されていった。そうした中で増毛と浜益の間を通行するために開削されたのが増毛山道である。安政4年(1857年)、当時増毛の漁場を請け負っていた2代目伊達林右衛門が自費にて山道の開削に着手し、9里半の道程を完成させた。

 松浦武四郎が幕府に命じられた地理調査で増毛を陸行した際には、完成直後のこの山道を通行しており、道中に宿場を設けることを進言している。しかし急峻な山道で事故も多く、その後、増毛山道はあまり利用されることはなかった。

 明治27年(1894年)、雄冬・浜益間の海沿いをつなぐ雄冬山道が完成すると、従来の山道よりも通行が容易だったために、増毛山道は増毛から岩尾、雄冬方面につながる部分だけが断片的に利用されることになった。

 昭和16年(1941年)に駅逓が廃止されて山道を行く人はほとんどいなくなったが、昭和56年(1981年)に国道231号が開通するまで、連絡船が運休時の急な用事などでまれに利用されていた。時化で定期船が運休した日の緊急な用事や選挙の際の投票箱の運搬などである。

 ジクサー150で増毛山道に入っていく。舗装路はダートの山道に変わり、雪溜まり地点まで行ったところで折り返した。

増毛を出発「増毛山道」の入口「増毛山道」で山中に入っていく

増毛を出発 「増毛山道」の入口 「増毛山道」で山中に入っていく

雄冬岬に到着

雄冬岬に到着

雄冬岬の白銀の滝

雄冬岬の白銀の滝

雄冬岬のトンネル

雄冬岬のトンネル

幌の廃校になった小学校

幌の廃校になった小学校

 国道231号に戻ると、岩尾温泉のある岩尾を通り雄冬に向かっていく。1000メートル級の山並みがそのまま日本海に落ち込む雄冬海岸は険しく、自然の大きな障害になっていた。国道231号が開通したのは「増毛山道」の案内板にもあるように、1981年のことでしかない。着工以来、23年の歳月をかけての完成だった。

 雄冬海岸に入るとカムイエ崎、マッカ崎、日方崎、観音崎、赤岩崎と岬がつづき、赤茶けた岩山がストンと海に落ちている。国道231号は連続するトンネルで、これらの岬を通りぬけていく。

 雄冬岬の手前に雄冬の集落がある。近年まで鰊番屋が残っていたほどで、かつては増毛と同じようにニシン漁で栄えた。

 雄冬は国道231号が開通するまではまさに陸の孤島で、1日1便の増毛港に通う定期船が唯一の交通機関になっていた。

 雄冬の日本海に突き出た岬が雄冬岬。安山岩、蛇紋岩などが高さ100メートル以上もある切り立った断崖をつくり、白銀の滝が流れ落ちている。ここは昔から「西蝦夷三険岬」のひとつとして恐れられてきた。

 雄冬岬をトンネルで抜け、浜益の海岸に出ると、風景は一変する。断崖の連続する海岸からスーッと延びる長い砂浜の海岸に変る。

 幌川河口の幌でジクサー150を止める。北海道遺産の「増毛山道」は別苅と幌を結ぶルート。まずは幌の集落を見てまわる。浜益北部小学校は廃校、幌中学校も廃校。廃校になった小中学校を見て、衰退していく幌を見せつけられた。そのあとで「増毛山道」と思われる幌の林道を走った。

「幌中学校」も廃校「幌中学校」の校舎が残っている浜益岳に向かって幌の林道を走る

「幌中学校」も廃校 「幌中学校」の校舎が残っている 浜益岳に向かって幌の林道を走る

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