カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

『地平線通信』(第1回目)(2007年12月号より)

投稿日:2021年1月4日

ハタチのカソリをぶっとばせ

●先月の地平線会議のカソリ報告会には、大勢のみなさまに来ていただき、ほんとうにありがとうございます。京都から駆けつけてくれた帰山さんのように、遠方から来てくださった方々も何人もいました。今回の「300日3000湯」の「温泉めぐり日本一周」では100人近くの人たちが、日本各地で「カソリ捕獲作戦」に参加しましたが、成功した人のみならず、失敗に終わった人たちも多くいました。そんな方々も先月の報告会に来てくれました。●そのうちの何人かの方々にひと言づつ話してもらいましたが、それがすごくよかったと思っています。「もんがぁ〜」さんは第1日目の東京・日本橋から奥武蔵・大野峠まで同行してくれました。「ウザキヨ」さんは東京港・竹芝桟橋から一緒の船で伊豆大島に渡ったのですが、大島でのカソリの捕獲に失敗…。その悔しさ、無念さを語ってくれました。「ワニー」さんはひと晩、泊まった名古屋の温泉ホテルまで来てくれたのですが、通勤途中でぼくが宿を出てくるまでは待てず、バイクに名古屋周辺のB級グルメとメモを残していってくれました。「ヤキソバン」さんは山梨・石和温泉の日帰り湯に「300日3000湯」のブログの速報を見て来てくれました。「いまさん」はゴール直前の10月27日、台風直撃の勝浦温泉のキャンプ場でおこなわれた「3000湯の夕べ」に来てくれ、翌朝、濁流の川で一緒に「渓流浴」をしたときのことを話してくれました。このように、「300日3000湯」の「温泉めぐり日本一周」では大勢のみなさん方に出会った訳ですが、みなさん方からもらったパワーが自分の大きな支えになりました。●昭文社の「K氏」こと桑原さんも来てくれました。うれしいことに家族連れでした。桑原さんの「300湯3000湯」の舞台裏の話には、興味深そうに聞き入っている人たちが多かったように思います。最初は「100日1000湯」計画だったこと、超アナログ人間のカソリに4台の携帯とパソコンを持たせたこと、700万円の取材費を丼勘定でポンと出してくれたことなど、ぼくが聞いていてもおもしろかったです。●桑原さんとの出会いは10何年も前になります。まさに異色の人。前職の警視庁機動隊員から飛び込みで昭文社に入社した熱血漢なのです。熱き血の「九州男児」。「バイク文化の向上を!」が10何年来、変わらない桑原さんのポリシー。そんな桑原さんと一緒になって、ライダーなら誰もが使っているロードマップ『ツーリングマップル』を立ち上げたのです。「地図に個性を!」。それが我々の一番のコンセプトでした。今回の「300日3000湯」の「温泉めぐり日本一周」は、その延長線上にあるのです。●『地平線通信』の報告会の案内はいつものように長野画伯の労作ですが、タイトルは「ハタチのカソリをぶっとばせ!」です。なぜ、そうなのか、報告会に来てくださったみなさんはわかってくれたと思いますが、今回の旅の途中で「還暦」を迎えたのです。それまでは自分が60歳になることがいやでたまらなかったのですが、実際に「還暦」を迎え、「まあ、いいか…」で気持ちを切り替えると、体内に新たなパワーが湧き上がってくるようでした。還暦といえば「暦」が戻るわけですから、ぼくはそのとき思ったのです。自分が戻るのはあのとき、「20歳の旅立ち」のときしかない、と。そう思いつくと20歳のカソリに真っ向から力勝負で立ち向かっていきたくなりました。●ということで今日、これから「南米・アンデス縦断」に出発します。20歳に戻った「還暦パワー」でアンデスの4000メートル級の峠を越え、烈風のパタゴニアを走り抜け、マゼラン海峡を渡ってフェゴ島の世界最南の町、ウシュワイアを目指します。ビーグル海峡を吹き抜ける南緯55度の風に吹かれてきます。「ハタチのカソリをぶっとばせ〜!」(賀曽利隆)

「300日3000湯」の第73日目。大雪の国道162号で小浜(福井県)に向かう

「300日3000湯」の第73日目。大雪の国道162号で小浜(福井県)に向かう

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