カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

ジクサー150分割日本一周[22]

投稿日:2020年6月16日

中国一周編 22(2017年3月4日)

宮本常一先生の10ヵ条

宮島口を出発

宮島口を出発

海のすぐ近くまで山が迫っている

海のすぐ近くまで山が迫っている

国道2号から見る宮島

国道2号から見る宮島

小瀬川にかかる栄橋を渡って山口県に入った!

小瀬川にかかる栄橋を渡って山口県に入った!

岩国に到着

岩国に到着

 安芸の一宮、厳島神社の参拝を終えると、宮島口を出発。ジクサー150を走らせ、国道2号を行く。国道2号から見る宮島の眺めはいい。

 大竹の町を過ぎると、小瀬川にかかる栄橋を渡り、山口県に入る。小瀬川が安芸と周防の国境になっている。山口県というと長州(長門)のイメージが強いが、防長(周防・長門)の2国から成っている。

 岩国からは海沿いの国道188号を行く。JR山陽本線の由宇駅を過ぎると、周防大島が見えてくる。JR山陽本線の大畠駅前でジクサー150を止めると、缶コーヒーを飲んで小休止。ひと息入れたところで、大島大橋を渡って周防大島に入った。ここは民俗学者宮本常一先生の故郷だ。周防大島は平成の大合併で、現在は全島が周防大島町の1町だが、合併以前は大島町、久賀町、橘町、東和町の4町から成っていた。

 宮本先生の故郷は島東部の旧東和町になる。

 周防大島北側の海を見ながら国道437号を行く。久賀の町を通り、旧東和町に入り、下田のバス停でジクサー150を止めた。ここが宮本先生の故郷。下田八幡宮を参拝したあと、国道437号沿いの「宮本常一記念館」を見学した。

 宮本先生の故郷にやってくると、宮本先生が故郷を離れて大阪に出るときに、父親に言われたという10ヵ条の言葉が思い出される。

 それが生涯4000日を旅した宮本常一の原点になっている。

『民俗学の旅』(文芸春秋)には次のように書かれている

  1. 汽車に乗ったら窓から外をよく見よ。田や畑に何が植えられているか、育ちがよいかわるいか、村の家が大きいか小さいか、瓦屋根か草葺きか、そういうこともよく見ることだ。駅に着いたら人の乗り降りに注意せよ、どういう服装をしているかに気をつけよ。また、駅の荷置場にどういう荷が置かれているかをよく見よ。そういうことでその土地が富んでいるか貧しいか、よく働くところかそうでないところかがよくわかる。
  2. 村でも町でもあたらしくたずねていったところはかならず高いところへ上がって見よ。そして方向を知り、目立つものを見よ。峠の上で村を見下ろすようなことがあったら、お宮の森やお寺や目につくものをまず見、家のあり方や田畑のあり方を見、周囲の山々を見ておけ。そして山の上で目をひいたものがあったら、そこへはかならずいって見ることだ。高い所でよく見ておいたら道にまようようなことはほとんどない。
  3. 金があったら、その土地の名物や料理は食べておくのがよい。その土地の暮らしの高さがわかるものだ。
  4. 時間のゆとりがあったらできるだけ歩いて見ることだ。いろいろのことを教えられる。
  5. 金というものはもうけるのはそんなに難しくない。しかし使うのが難しい。それだけは忘れぬように。
  6. 私はおまえを思うように勉強させてやることができない。だからおまえには何も注文しない。好きなようにやってくれ。しかし身体は大切にせよ。30歳まではおまえを勘当したつもりでいる。しかし30を過ぎたら親のあることを思い出せ。
  7. ただし病気になったり、自分で解決のつかないようなことがあったら、郷里へ戻って来い。親はいつでも待っている。
  8. これから先は子が親に孝行する時代ではない。親が子に孝行する時代だ。そうしないと世の中はよくならぬ。
  9. 自分でよいと思ったことはやってみよ。それで失敗したからといって親は責めはしない。
  10. 人の見のこしたものを見るようにせよ。その中にいつも大事なものがあるはずだ。あせることはない。自分の選んだ道をしっかりと歩いていくことだ。

 この10ヵ条はどれをとっても今の時代にも通じるもので、胸にしみる言葉ばかりだ。宮本先生はその10ヵ条を胸に秘めて生涯を通された。

 宮本常一先生の故郷を後にすると、さらに国道437号を行き、国道の行止り地点の伊保田港へ。そこからは松山へのフェリーが出ている。国道347号も伊保田が終点ではなく、国道フェリーで松山に通じている。『ツーリングマップル』(中国・四国)を見ればわかるように、松山側にも国道437号は延びている。

 周防大島東端の伊保田港で折り返す。来た道を引き返し、大島大橋を渡り、JR山陽本線の大畠駅前に戻るのだった。

岩国からは国道188号を行く瀬戸内海を見ながら国道188号を走る国道188号から見る周防大島

岩国からは国道188号を行く 瀬戸内海を見ながら国道188号を走る 国道188号から見る周防大島

JR山陽本線の大畠駅大島大橋で周防大島に渡る下田の下田八幡宮を参拝

JR山陽本線の大畠駅 大島大橋で周防大島に渡る 下田の下田八幡宮を参拝

下田の海「宮本常一記念館」を見学周防大島東端の伊保田港

下田の海 「宮本常一記念館」を見学 周防大島東端の伊保田港

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