カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

温泉めぐり日本一周[163日目]

投稿日:2019年1月16日

天国のあとは地獄

九州編 34日目(2007年5月23日)

 えびの高原温泉「からくに荘」の朝湯に入り、ご飯(キビ飯)、味噌汁、目玉焼き、干物、サラダ、モヤシ、さつま揚げ、青菜、煮豆、昆布、フキの朝食を食べ、8時30分に出発。ハルゼミが「ジージー」鳴いている。えびの高原の気持ちの良い空気を切り裂いてバンディットを走らせ、霧島を下った。

 第1湯目は白鳥上湯温泉「白鳥上湯温泉」の湯。内風呂と露天風呂。赤茶けた湯の色。ここの露天風呂は「絶景湯」だ。川内川上流の盆地を見下ろし、その向こうに連なる宮崎・熊本県境の山並みを眺めた。

 第2湯目は白鳥下湯温泉「白鳥下湯温泉」の湯。大浴場と露天風呂。ここの広々とした大浴場はすごくいい。

 霧島を下ると国道221号でゆるやかな峠を越える。えびの・小林の市境の峠。この名無し峠が川内川と大淀川を分ける分水嶺になっている。

 第3湯目は阿母ヶ平温泉。小林の中心街を過ぎたところで国道221号を左折し、2キロほど入ったところに一軒宿の「阿母ヶ平鉱泉」がある。内風呂と露天風呂。ここでは先客と「湯の中談義」。その人は熊本の水俣から車を飛ばしてやってきた。水俣周辺にも何湯もの温泉があるが、どこも「普通の温泉」だという。ところが阿母ヶ平温泉は「特別な温泉」なのだという。

「ここの湯は神経痛にじつによく効くのですよ」

 夜も寝られないほどの神経痛に悩まされたとき、ここを教えてもらった。そのとき、たった1度入っただけで、神経痛の痛みは劇的にやわらいだ。それ以来、神経痛が出ると、すぐにこの湯に入りに来るという。

 国道223号で狭野へ。ここは日本初代の神武天皇誕生伝説の地。狭野を拠点に4湯をめぐる。

 第4湯目は湯之元温泉「湯之元温泉」の湯。内風呂と露天風呂は黄土色した濃い湯の色。「源泉風呂」は冷泉で高濃度の炭酸泉。「シュワーッ」といった感じで、まさにサイダー泉。甘味もある。

 第5湯目は極楽温泉「匠の宿」の湯。大浴場の石風呂の湯は湯之元温泉の湯に似ている。この石風呂は20トンもの一彫石を湯船にしたもの。このあたりからの霧島連峰の眺めはすばらしい。手前の高千穂峰から韓国岳へとつづく山並みを一望する。

 第6湯目は皇子原温泉「皇子原健康村」の湯。「皇子原」とは神武天皇がらみの地名で、ここには神武天皇像が立っている。にごり湯の内風呂のみ。湯から上がると昼食。「鯉料理」を食べた。これはすごい。「鯉の洗い」と「鯉こく」だが、味の良さと満点のボリューム感には驚かされてしまう。これで840円は安い。この値段でこれだけの鯉料理が食べられるのは、この地に西日本でも最大級の「狭野養鱒場」があるからだ。

 大満足で「鯉料理」をほぼ食べ終わったころ、フロントの人に「バイクのバックミラーが落ちていますよ」といわれた。急いでバンディットのところに行くと、何ということ…。車にひっかけられてバックミラーは根元から折れ、吹っ飛んでいた。車は逃げ去っていた。すごくラッキーだったのは、バンディットは転倒することもなく、ほかに傷もつけられなかった。逃げた車の運転手はじつに器用に、まるでピンポイントのようにバックミラーだけをひっかけて逃げ去ったのだ。

 これが旅の縮図。いや、人生の縮図といってもいい。

「天国のあとは地獄」なのだ。

 バンディットには「ゴメン、ゴメン…。痛かったな」と声をかけた。

 第7湯目はサンヨーフラワー温泉「サンヨーフラワー温泉」。大浴場と露天風呂の湯につかったが、腹立たしさが消えず、湯につかりながらもムカついた。

 狭野に戻ると、国道223号で宮崎・鹿児島の県境に向かっていく。

 霧島山麓の御池の前を通る。神秘的な湖面には高千穂峰が映っている。

 第8湯目は神々のふるさと湯温泉「神々のふるさと湯」。県境の温泉で、宮崎県の国道からわずかに北に入った高台上にある。大浴場と露天風呂。露天風呂からの眺めはすばらしい。霧島の山麓一帯を一望し、はるか遠くには鹿児島湾と桜島を望む。

 県境を越えて鹿児島県に入った。

 第9湯目は霧島神宮温泉「あかまつ荘」。霧島神宮の鳥居前にある。大浴場と露天風呂。無色透明の湯で、タイル張りの湯船にどっぷりとつかった。

 第10湯目は硫黄谷温泉「霧島ホテル」の湯。三度目の正直でやっと入れた。きれいな白濁の湯。硫黄泉の源泉は60度、明礬泉の源泉は62度と、高温湯だ。ドーム内の大庭園風呂に入った。

 第11湯目は野々湯温泉「野々湯温泉」の湯。大浴場と小さな露天風呂。露天風呂は木の湯船。神棚の上にはツバメの巣があって5羽の雛が何ともいえずにかわいらしい。

 第12湯目は日の出温泉「きのこの里」の湯。熱い湯と少し熱めの湯はともに濁り湯。

 第13湯目は日当山温泉「ホテルのき」の湯。ここは大浴場の内風呂のみ。やわらかな湯の感触。国道沿いにあるので入りやすい。

 第14湯目は隼人温泉「ホテル京セラ」の湯。石造りの湯船がひとつ。これで入浴料が1000円とは…。

 こうして霧島山麓の3湯、天降川沿いの3湯、全部で6湯に入った。

 隼人からは国道10号→国道220号で大隈半島に入っていく。

 第15湯目は垂水温泉「湯っ足り館」の湯。大浴場と露天風呂。露天風呂は小さな湯船。

 今晩の宿、桜島の古里温泉「ふるさと観光ホテル」に到着したのは21時10分。湯から上がると、垂水温泉「湯っ足り館」で買った「おにぎりセット」を食べるのだった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 えびの高原温泉「からくに荘」
朝食 えびの高原温泉「からくに荘」 ご飯(キビ飯)、味噌汁、目玉焼き、干物、サラダ、モヤシ、さつま揚げ、青菜、煮豆、昆布、フキ
8時30分 えびの高原温泉「からくに荘」を出発
1613湯目 白鳥上湯温泉「白鳥上湯温泉」(300円)
1614湯目 白鳥下湯温泉「白鳥下湯温泉」(300円)
あきしげの湯温泉(発見できず)
1615湯目 阿母ヶ平温泉「阿母ヶ平鉱泉」(400円)
1616湯目 湯之元温泉「湯之元温泉」(400円)
1617湯目 極楽温泉「匠の宿」(300円)
1618湯目 皇子原温泉「皇子原健康村」(300円)
昼食 皇子原温泉「皇子原健康村」 鯉料理(840円)
1619湯目 サンヨーフラワー温泉「サンヨーフラワー温泉」
御池
1620湯目 神々のふるさと湯温泉「神々のふるさと湯」(500円)
鹿児島県に入る
1621湯目 霧島神宮温泉「あかまつ荘」(400円)
霧島神宮
1622湯目 硫黄谷温泉「霧島ホテル」(1000円)
1623湯目 野々湯温泉「野々湯温泉」(500円)
1624湯目 日之出温泉「きのこの里」(200円)
1625湯目 日当山温泉「ホテルのき」(300円)
1626湯目 隼人温泉「ホテル京セラ」(1000円)
1627湯目 垂水温泉「湯っ足り館」(330円)
1628湯目 古里温泉「古里観光ホテル」(1泊朝食12000円)
夕食 「湯っ足り館」で買った「おにぎりセット」(160円)
本日の走行距離数 187キロ
本日の温泉入浴数 16湯

えびの高原温泉「からくに荘」の朝湯に入る「からくに荘」の朝食「からくに荘」を出発

えびの高原温泉「からくに荘」の朝湯に入る 「からくに荘」の朝食 「からくに荘」を出発

えびの高原を行く白鳥上湯温泉「白鳥上湯温泉」「白鳥上湯温泉」の内風呂

えびの高原を行く 白鳥上湯温泉「白鳥上湯温泉」 「白鳥上湯温泉」の内風呂

「白鳥上湯温泉」の露天風呂白鳥下湯温泉「白鳥下湯温泉」「白鳥下湯温泉」の大浴場

「白鳥上湯温泉」の露天風呂 白鳥下湯温泉「白鳥下湯温泉」 「白鳥下湯温泉」の大浴場

えびの高原から加久藤に下る国道221号のえびの・小林の市境の峠湯之元温泉「湯之元温泉」

えびの高原から加久藤に下る 国道221号のえびの・小林の市境の峠 湯之元温泉「湯之元温泉」

「湯之元温泉」の湯極楽温泉「匠の宿」の湯霧島連峰の眺め

「湯之元温泉」の湯 極楽温泉「匠の宿」の湯 霧島連峰の眺め

皇子原の神武天皇像皇子原温泉「皇子原健康村」の鯉料理鯉料理の「鯉の洗い」

皇子原の神武天皇像 皇子原温泉「皇子原健康村」の鯉料理 鯉料理の「鯉の洗い」

サンヨーフラワー温泉「サンヨーフラワー温泉」神々のふるさと湯温泉「神々のふるさと湯」霧島神宮温泉「あかまつ荘」

サンヨーフラワー温泉「サンヨーフラワー温泉」 神々のふるさと湯温泉「神々のふるさと湯」 霧島神宮温泉「あかまつ荘」

硫黄谷温泉「霧島ホテル」の湯野々湯温泉「野々湯温泉」「野々湯温泉」の湯

硫黄谷温泉「霧島ホテル」の湯 野々湯温泉「野々湯温泉」 「野々湯温泉」の湯

「野々湯温泉」のツバメの巣日当山温泉「ホテルのき」の湯隼人温泉「ホテル京セラ」

「野々湯温泉」のツバメの巣 日当山温泉「ホテルのき」の湯 隼人温泉「ホテル京セラ」

垂水温泉「湯っ足り館」の露天風呂今晩の宿、古里温泉「古里観光ホテル」に到着夕食の「おにぎりセット」

垂水温泉「湯っ足り館」の露天風呂 今晩の宿、古里温泉「古里観光ホテル」に到着 夕食の「おにぎりセット」

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