カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

温泉めぐり日本一周[100日目]

投稿日:2018年5月8日

伊豆半島経由で四国へ

四国編 1日目(2007年3月10日)

 さー、四国編の開始だ。

「四国編」は3パートに分けてまわることにする。パート1が「東京→高松」の「四国往路編」、パート2が「高松→高松」の「四国一周編」、パート3が「高松→東京」の「四国復路編」。これらを3回に分けてまわるのではなく、1回で連続してまわることにする。

 パート1の「東京→高松」は「黒潮ライン」といってもいいようなルートで、伊豆半島、紀伊半島の海岸線を行き、岡山県の宇野からフェリーで高松に渡るというもの。

 パート2の「高松→高松」は時計回りでの「四国一周」だ。海岸線をメインルートにし、松山からは「断層ライン」の中央構造線に沿って四国を横断し、日本列島の「割れ目の湯」をめぐり高松に戻るというもの。

 パート3の「高松→東京」は太平洋側をメインルートとし、紀伊半島、伊豆半島の2つの「温泉半島」では内陸部の温泉をめぐることにする。「和歌山→伊勢」の紀伊半島横断は四国横断と同じく「断層ライン」で日本列島を二分する中央構造線上の温泉をめぐり、天城峠越えの伊豆半島縦断は「火山ライン」で富士火山帯の温泉をめぐることとする。

 2007年3月10日の午前7時、スズキのスクーター、SKYWAVE400に乗って、東京・日本橋に到着。昭文社の井沢さん、若林さん、大久保さん、デザイナーの大熊さんが見送りに来てくれた。「甲信編」の石和温泉で出会った「ヤキソバンさん」も、スズキDR−Z400Sに乗って駆けつけてくれ、「デコポン」の差し入れをしてくれた。

 早朝の東京を走り出す。ぼくはあまりスクーターには乗ったことがないので、すぐに足を動かしてフートブレーキをかけようとする。

「あ、いけねえ、これはスクーターなんだ」
 と、そのたびに自分にいい聞かせる。同じようにギアチェンジをしようとしたり、あるはずもないクラッチを握ろうとする。早くスクーターに慣れなくってはいけない。

 東京の中心部を走り、霞ヶ関で首都高に入り東名へ。多摩川を渡って神奈川県に入る。東名の東京料金所までは昭文社の若林さんが同行してくれた。

 若林さんと別れると東名で秦野中井ICへ。スカイウェイブ400での高速走行は楽。晴天の高速道を快適に飛ばした。高速性能抜群!

 秦野中井ICから相模湾沿いの二宮へ。二宮の「サンクス」で朝食。おにぎりと「ヤキソバンさん」が差し入れてくれたデコポンを食べる。デコポンの濃厚な甘さが口の中いっぱいに広がる。

 二宮で西湘バイパスに入り、日の光を浴びてキラキラときらめく相模湾を見ながら走る。真鶴道路(有料)経由で第1湯目の湯河原温泉に到着したのは10時。ここでは日帰り湯「こごめの湯」に入った。無色透明のツルツル湯につかりながら、また温泉めぐりの毎日がはじまったことを実感するのだった。

 湯河原温泉からは国道135号で県境を越え静岡県に入る。

 第2湯目の熱海温泉では大湯間歇泉の近くにある日帰り湯の「大湯」に入った。大浴場と露天風呂。ここは源泉掛け流しの湯。熱海から海岸沿いの国道135号を南下し、伊豆半島に入っていく。

 第3湯目の多賀温泉では日帰り湯の「妙楽湯」に入った。内風呂と小さめな露天風呂はともに風情のある湯。湯から上がると昼食。「玄米餅」を食べた。「いそべ」と「納豆餅」の2種。玄米の餅なので濃い茶色をしているが、白米の餅にはないような味の深さを感じた。

 昼食を食べ終わって外に出たところでカソリ、青くなる。

「しまったー!」

 スカイウェイブのスイッチをオンにしたまま「妙楽湯」に入ってしまい、バッテリーは完全に上がっている。もうウンともスンともいわない。バイクだと押しがけすればエンジンをかけられるが、スクーターだとそうはいかない。

「妙楽湯」は高台にある。とりあえず坂を下って国道135号に出ることにした。海辺の国道まではなんとか下れた。問題はそこからだ。ガソリンスタンドまで押していくことにした。わずかな登り坂が猛烈にきつい。全身の力をこめて押し上げる。

 その途中にダイハツの販売店「鈴木モータース」があった。ありがたいことに、店のご主人はみてくれるという。ところが肝腎のバッテリーがどこにあるのかわからない。バイクだと普通、シートの下あたりにあるバッテリーが見当たらない。

 すぐさま、さきほど東名の東京料金所で別れた昭文社の若林さんに電話する。若林さんは昭文社のバイク担当班のキャップ。若林さんのおかげで、バッテリーはハンドル下のボックスの奥にあることが判明。すぐさまエンジンをかけてもらった。今日は土曜日。「鈴木モータース」は本来は休みだということだが、新車の納入があって店を開けていた。何ともラッキーなことだった。

 国道135号を南下。東伊豆の温泉をめぐる。

 第4湯目は網代温泉の温泉旅館「松風苑」。大浴場と露天風呂の湯に入る。庭園のきれいな宿だ。

 第5湯目は宇佐美温泉の温泉民宿「おっとと村」。屋根つきのサッシのはめ込まれた露天風呂からは宇佐美湾を一望。ここは源泉が62度という高温湯。

 第6湯目は東伊豆では最大の温泉地、伊東温泉。ここでは「東海館」の湯に入った。木造3階建ての建物。総タイル張りの浴室は古き良き時代を感じさせる。「東海館」は平成9年に70年つづいた温泉宿としての歴史に幕を下ろし、その後は日帰り湯になっている。ここはすばらしい木造建築なので、見学者があとをたたない。温泉に入りに来る人たちよりも、建物を見学する人たちの方が多い。資料室にはかつての伊東温泉と「東海館」の写真が展示されているが、目の前を流れる松川はもっと川幅が広く、川で釣りをする人たちの姿が何人も写っていた。

 伊東からさらに国道135号を南下する。

 第7湯目は伊豆高原温泉の日帰り湯「高原の湯」。大浴場は湯気でもうもう。露天風呂は気持ちよく入れる。階段状に3つの湯船。樹林に囲まれた露天風呂だ。

 第8湯目は赤沢温泉。ここでは海岸の無料湯の混浴露天風呂に入った。脱衣所はない。無色透明の湯につかりながら伊豆諸島の島々を眺めた。左手に伊豆大島、正面に利島、右手に新島が見えている。

 第9湯目は大川温泉。小さな大川漁港に隣り合った日帰り湯の露天風呂「磯の湯」に入る。湯につかりながら目の前の暮れなずむ海を見る。

 第10湯目は北川温泉の混浴露天風呂「黒根岩風呂」。ここからは正面に伊豆大島を眺める。黒々とした姿を水平線上に横たえる伊豆大島だが、ポツンポツンと灯りはじめた町明かりが見える。つづいて熱川温泉の日帰り湯「高磯の湯」に行ったが、すでに営業時間を終えていた。残念…。

 第11湯目の稲取温泉では、まずは伊豆急伊豆稲取駅前の「海鮮茶屋一丁」で夕食。「アジちらし丼」を食べた。さすが魚のうまい稲取。アジの鮮度は文句なし。それがすし飯の丼にのっている。アジのちらしずしには「海鮮汁」がついている。金目のあら汁。これがまた美味だった。

「アジちらし丼」に大満足して温泉銭湯の「都湯」へ。ところが番台には誰もいない。中にいる人に、「かまわないから、そのまま入って大丈夫だよ。出るときにお金を払えばいいから」といわれ、その通りにした。

 湯につかっていると、ここの主人がやってきた。なんと96歳の方。とても90を過ぎているとは思えないほど元気で、肌には張りがあり、つやつやしている。これは間違いなく温泉効果。一緒に湯につかり、しばらくは「湯の中談義」。

「知り合いが次々に亡くなって…。この年まで生きているのはもう私だけですよ。長生きするのはいいことなのか、悪いことなのか…」。

「いいことですよ〜!」とカソリ。

「都湯」のご主人とは湯の中で何度も握手をかわし、「また、いらっしゃいよ」の言葉に送られて湯から出た。いつまでもポカポカ感の残る湯。96歳の「都湯」のご主人との「湯の中談義」もあったので、ポカポカ感はさらに増した。

 すごくいい気分でスカイウェイブ400に乗り、夜の国道135号を走り、下田駅前に到着したのは21時。下田駅に近い下田温泉の国民宿舎「ニュー下田」に泊った。

本日のデータ 料金等は当時のものです
7時 日本橋を出発
「四国編」を開始
「若林さん」が東名の東京料金所まで同行してくれる
朝食 二宮の「サンクス」 「おにぎり&デコポン」
901湯目 湯河原温泉「こごめの湯」(1000円)
奥湯河原温泉 入れず
伊豆山温泉 入れず
902湯目 熱海温泉「大湯」(1000円)
903湯目 多賀温泉「妙楽湯」(1000円)
昼食 多賀温泉「妙楽湯」 「玄米餅」(800円)
904湯目 網代温泉「松風苑」(1000円)
905湯目 宇佐美温泉「おっとと村」(500円)
906湯目 伊東温泉「東海館」(500円)
907湯目 伊豆高原温泉「高原の湯」(900円)
908湯目 赤沢温泉・海浜混浴露天風呂(無料湯)
909湯目 大川温泉「磯の湯」(500円)
910湯目 北川温泉「黒根岩風呂」(600円)
熱川温泉 入れず
夕食 稲取駅前の「海鮮茶屋一丁」 「アジのちらし丼」(1050円)
911湯目 稲取温泉「都湯」(340円)
21時 下田温泉「ニュー下田」(1泊朝食6955円)
912湯目 下田温泉「ニュー下田」
本日の走行距離数 208キロ
本日の温泉入浴数 12湯

東京・日本橋を出発。「四国編」の開始!日本橋には「ヤキソバンさん」が見送りにきてくれた朝食は二宮の「サンクス」で。「おにぎり&デコポン」を食べる

東京・日本橋を出発。「四国編」の開始! 日本橋には「ヤキソバンさん」が見送りにきてくれた 朝食は二宮の「サンクス」で。「おにぎり&デコポン」を食べる

湯河原温泉「こごめの湯」湯川原から見る相模湾。初島が見える伊豆山温泉の「走湯温泉跡」

湯河原温泉「こごめの湯」 湯川原から見る相模湾。初島が見える 伊豆山温泉の「走湯温泉跡」

熱海温泉を見る熱海温泉「大湯」熱海温泉「大湯」の浴室

熱海温泉を見る 熱海温泉「大湯」 熱海温泉「大湯」の浴室

多賀温泉「妙楽湯」「妙楽湯」に入る「妙楽湯」の「玄米餅」(いそべ)

多賀温泉「妙楽湯」 「妙楽湯」に入る 「妙楽湯」の「玄米餅」(いそべ)

「妙楽湯」の「玄米餅」(納豆餅)網代温泉「松風苑」の湯宇佐美温泉「おっとと村」の湯

「妙楽湯」の「玄米餅」(納豆餅) 網代温泉「松風苑」の湯 宇佐美温泉「おっとと村」の湯

「おっとと村」から見下ろす宇佐美湾伊東温泉にやってきた伊東温泉「東海館」

「おっとと村」から見下ろす宇佐美湾 伊東温泉にやってきた 伊東温泉「東海館」

「東海館」の雛飾り「東海館」の椿の花伊豆高原温泉「高原の湯」

「東海館」の雛飾り 「東海館」の椿の花 伊豆高原温泉「高原の湯」

大川漁港大川温泉「磯の湯」稲取駅前の「海鮮茶屋一丁」で夕食。「アジのちらし丼」を食べる

大川漁港 大川温泉「磯の湯」 稲取駅前の「海鮮茶屋一丁」で夕食。「アジのちらし丼」を食べる

これが「アジのちらし丼」稲取温泉「都湯」

これが「アジのちらし丼」 稲取温泉「都湯」  

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    2018年9月8日
    日時:2018年9月8日
         15:00受付開始
       9日 復興ツーリング

    会場:天神岬スポーツ公園
       キャンプ場
       福島県楢葉町

    参加費:1,000円(テント泊)
        500円(日帰り)
        小学生以下は無料

    事前登録:登録フォーム

    問合せ:焚き火night事務局
       (担当:渡辺哲)
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