カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

アドレス日本一周 east[106]

投稿日:2013年11月14日

日本の港湾工学の父、廣井勇

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2008年12月10日

 12月10日。札幌駅北口の「東横イン」の朝食を食べ、外に出ると、「300日3000湯」(2006年〜2007年)で出会った「仕事人さん」がスズキのコレダに乗って来てくれた。いやー、なつかしい。
 あのときは札幌の苗穂駅前温泉「蔵の湯」の大浴場と露天風呂、ライトアップされた洞窟風呂に入り、「蔵の湯」を出ると、スズキのDR650に乗った「仕事人さん」が待ち構えてくれていた。カワサキのKSR80に乗った「小林さん」、アメリカンのドラッグスタークラシックに乗った「将吉さん」も来てくれた。
 ぼくは札幌市内から小金湯温泉、さらには定山渓温泉に向かうつもりにしていたが、みなさんは案内がてら途中まで一緒に走ってくれた。札幌の道を知りつくしている「仕事人さん」の先導で札幌の中心街を走り抜け、国道230号に出た。
「カソリさん、あとはもう一直線ですよ」
 といって、「仕事人さん」はDR650を止めた。そこでみなさんと固い握手をかわして別れたのだった。
「東横イン」の玄関前でしばし「仕事人さん」と話し込み、さー、出発だ。
「仕事人さん」には北海道限定のカリカリ・ポテトとパリパリ・コーンの「いも子とこぶ太郎」の差し入れをしてもらった。
「仕事人さん」と途中まで一緒に走り、国道5号で小樽へ。
 小樽に着くと、JR小樽駅前でアドレスを止めた。ひと息入れたところで、小樽駅を拠点にしての「小樽探訪」を開始した。
 まずは小樽港と、小樽港を護る北防波堤(1540m)、南防波堤(816m)の長大な防波堤を見に行く。そのあとで南防波堤の付け根にある「小樽みなと資料館」(無料)を見学。この小樽港の防波堤を設計した「日本の港湾工学の父」といわれる廣井勇博士の業績が詳しく紹介されている。長大な防波堤の作り方やその歴史も展示されている。
 天然の良港といわれる小樽港だが、いったん北からの強風に見舞われると押し寄せる荒波で港内に停泊している船が破壊されたり、港湾施設が被害を受けることがたびたびあった。そのような被害から小樽港を護る大防波堤が計画された。そのうち北防波堤の建設工事が始まったのは明治30年(1897年)5月。初代小樽港築港事務所長の廣井勇氏が工事責任者になった。
 明治32年12月の暴風雨の時、事務所に泊まりこんでいた廣井氏は夜半になって風がやや収まったのを見はからって、外に出た。防波堤の堤体もクレーンも無事だったことを確認すると、天を仰いで神に感謝したというエピソードが残されている。
 こうした苦労の末、明治41年5月、北防波堤は完成した。ひきつづいて南防波堤建設の工事が進められ、大正10年(1921年)に完成した。こうして現在の小樽港の基礎が築かれたのである。
「小樽みなと資料館」の見学を終えると、右手に小樽港を見ながらアドレスを走らせ、舞鶴や敦賀、新潟からのフェリーが到着するフェリーターミナルに行った。ここは多くのツーリングライダーにとっては、北海道ツーリングのスタート地点であり、ゴールになっている。そして人気の小樽運河を見、運河公園へ。そこには廣井勇像が建ち、略歴が記されている。

 廣井勇(1862?1926)
 1862年(文久2年)高知生まれ。
 札幌農学校第2期生。アメリカ、ドイツで橋梁工学・土木工学を学び、帰国後、札幌農学校工学科教授のち北海道の港湾改良と築港工事に携わる。
 彼の指導による小樽港第一期工事は、日本の近代港湾建設技術を確立し、世界に高く評価された。

 運河公園は洒落た公園。広場には方位表示盤があり、噴水池がある。正面には旧日本郵船小樽支店の堂々とした建物(国の重要文化財)が建っている。ここは日本最大の船会社、日本郵船の「船入澗」だった。大型船の接岸できるような埠頭がなかった頃、ここで貨物の積み下ろしをした。貨物を満載にしたハシケが船入澗と沖合いに停泊している大型船の間を行き来した。運河公園の噴水池は当時の船入澗の4分の1の大きさで再現したものだという。ここは小樽港発祥の地だ。

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「東横イン」の朝食
「仕事人さん」との再会!


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「仕事人さん」からの差し入れ
「東横イン」を出発


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小樽駅前に到着
小樽港の防波堤


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防波堤の建設工事に使われたクレーン
「小樽みなと資料館」


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小樽運河
運河公園


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運河公園の廣井勇像


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