カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

アドレス日本一周 west[90]

投稿日:2013年2月27日

独立国「薩摩」の歴史

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 鹿児島中央駅に近い「バイクフォーラム鹿児島店」でアドレスのオイル交換、オイルフィルターの交換をしてもらい、「鹿児島探訪」を開始。西郷隆盛の銅像前の交差点へ。そこが国道3号と国道10号の終点で、沖縄の那覇に通じる国道58号の起点になっている。そして鶴丸城址にアドレスを停め、歩いて城山に登った。
 城山は鹿児島の町にせり出したシラス台地の先端の小山で高さ108メートル。鹿児島の中心街にある山とは思えないほど豊かな自然を残している。クスやシイ、カシなどの照葉樹に覆われ、バクチやバリバリという珍名の樹木もある。
 山頂の展望台から鹿児島の町並みを見下ろし、噴煙を上げる桜島を間近に眺めた。桜島はなんともすごいのだが30年前の「日本一周」のときも、20年前の「日本一周」のときも、10年前の「日本一周」のときも噴煙を上げていた。桜島には地球の持つ膨大なエネルギーを見せつけられてしまう。
 城山を下った鶴丸城は薩摩藩77万石、島津氏270年の居城だ。城跡の擬宝珠のついた石橋や苔むした石垣に、加賀藩に次ぐ日本第2の大藩の面影を見る。
 城山は明治10年(1877年)の西南戦争最後の戦場。すさまじい激戦を今に伝えるかのように、城跡の石垣には無数の弾痕が残っている。
 西南戦争での敗戦は、薩摩に致命的な打撃を与えた。
 薩摩は日本の中の独立国のようなもの。古代薩摩人の隼人や熊襲は、大和朝廷に頑強に抵抗しつづけた。勇猛果敢な隼人や熊襲の血はその後も薩摩人に脈々と受け継がれた。
 薩摩の独立性の強さは、「島津」という大名が鎌倉時代以降、700年間もこの地を治めたことによってさらに強まった。薩摩の島津氏のような例はほかにない。
 関東武士の島津氏が鹿児島に入ったのは5代目、貞久の時代。興国4年(1343年)のことだった。このときから鹿児島の城下町としての歴史がはじまった。最初は東福寺城を居城にし、次いで清水城に移った。6代目、貴久の時代に内城(今の鹿児島駅の北側あたり)に移った。
 慶長5年(1600年)の関ヶ原合戦での敗退後、18代目、家久の時代に城山を背にする鶴丸城を築いた。慶長7年(1602年)のことで、城中は本丸と二ノ丸に分かれ、天守閣のない質素な館造りの城だった。
「人をもって城となす」の言葉どおり、領内各地に外城と呼ぶ支城を設け、また中世以来の島津独特の郷士制度で薩摩国内に堅固な防衛線を引いた。
 薩摩藩の国境警備は厳重を極め、鎖国をしていた日本にあって、さらにその中で鎖国をしていたようなものだ。関ヶ原で敗れた島津氏はその後、外様大名として徳川幕府からはさんざんに苦しめられ、「お家」を護るためにそうしたのだった。その反面、薩摩は南の海に開けた国なので、琉球や中国、南方諸国との密貿易を盛んにおこない、それによって得た莫大な利益で密かに国力を強めていった。
「薩摩」の名を全国にとどろかすのは幕末になってからのことだ。徳川に対する270年の怨みを一気に晴らすかのように、長州と手を組んで倒幕の道を突っ走り、ついに明治新政府を樹立した。薩摩人でなければ「人にあらず」といった日の出の勢いだった。
 しかし明治10年(1877年)、西南戦争が勃発。西郷隆盛ひきいる薩摩軍は熊本の田原坂で政府軍と激突し、そこで大敗を喫してしまう。田原坂での敗戦は、薩摩に壊滅的な打撃を与えた。薩摩軍は九州山地の山中を鹿児島まで敗走し、城山が西郷隆盛らの終焉の地になった。勇猛果敢な薩摩人は根こそぎ葬られ、この西南戦争での敗戦をもって、独立国、薩摩の歴史に幕が下りた。

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「バイクフォーラム鹿児島店」
西郷隆盛の銅像前の交差点


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西郷隆盛の銅像
国道3号と国道10号の終点を見る


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国道58号はここより始まる
鶴丸城跡


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鶴丸城の石垣
城山の楠


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城山から見下ろす鹿児島の市街地
噴煙を上げる桜島


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