カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

北海道大学 札幌農学校第2農場

投稿日:2010年11月16日

今なお生きる「Boys,be ambitious」

 札幌での北海道遺産めぐりの第2弾目は「札幌農学校第2農場」。
「少年よ、大志を抱け!(Boys,be ambitious)」のクラーク博士の構想によって、1戸の酪農家をイメージした畜舎と関連施設を建て、北海道初の畜産経営の実験農場として120年ほど前にできあがった。

札幌農学校第2農場


 ここは日本の酪農王国・北海道のまさに発祥の地といっていい。
 札幌農学校というのは北海道大学の前身。「札幌農学校第2農場」は北海道大学の構内にあるが、4月29日から11月3日までの午前10時から午後4時までは、入口の事務所前の来訪者名簿に名前を書くだけで、「模範家畜房」と「牧牛舎」、「穀物庫」を見学できる。建物内部に展示されている農場の歴史や北海道の畜産の歴史、明治初期に輸入された農機具などを見ることができる。

北海道大学の構内
模範家畜房


牧牛舎
牧牛舎


雪の札幌農学校第2農場
雪の札幌農学校第2農場


 ここには「北海道遺産めぐり」の前年、2008年の3月に来たことがある。あいにくの大雪で、すっぽりと雪に埋もれた建物の外観を見ただけだった。
 今回、こうして実際に、間近に見れてうれしかった。
「札幌農学校第2農場」の入口には「重要文化財」の案内板が立っている。それには次のように書かれている。

「当会場内の諸建造物(9棟)はウイリアム・S・クラーク先生の大農経営構想のもとに、明治10年から翌11年に建てられた模範家畜房(メデルバーン)を中心とした農場施設を明治42年から明治44年にかけて旧農学校第2農場(現図書館北側)から現在地へ移築あるいは新築したものである。当該諸建造物は明治の洋風建築として建築技術史上価値あるもので、また当時の酪農経営を知る貴重な資料であることから昭和44年8月国の重要文化財の指定を受けている」

 さっそく「札幌農学校第2農場」内を歩き、「模範家畜房」や「牧牛舎」、「種牛舎」、「穀物庫」、「収穫室」などを見てまわった。
 模範家畜房(産室追込所及耕馬舎)の1階は乳牛の産室と追込所、耕馬舎、2階は干草の収納室で、干草を満載にした馬車が直接入れたという。建物の外壁には牛の顔の木彫が誇らしげに飾られている。
 牧牛舎(牝牛舎)が建てられたのは明治末期。この当時はデンマーク農法の酪農が叫ばれていた。飼料を貯蔵するサイロ、マンケード型畜舎などの新しい酪農形態が伝わり、この牧牛舎はそのモデル搾乳牛舎として建てられたという。
 札幌農学校が開校したのは明治9年(1876年)。このときアメリカのマサチューセッツ州生まれのクラーク博士が教頭として招かれた。クラークは実質的には校内の一切を取り仕切っていた。時の開拓使長官、黒田清隆(後の第2代総理大臣)の後ろ盾がおおきかったようだ。札幌での滞在はわずか8ヵ月でしかなかったが、その短い期間で彼は数多くのことを成し遂げた。
 クラークは翌明治10年(1877年)5月に帰国したが、その後は不遇の人生を送ったようで、1887年7月、59歳で亡くなっている。
 そんなクラーク博士に会いに、札幌郊外の羊ヶ丘展望台に行く。
 羊ヶ丘展望台に立つと、広々とした農場の向こうに札幌の市街地が見える。札幌ドームはすぐ近くに見える。
 そんな羊ヶ丘展望台にクラーク博士像が建っている。大きな全身像だ。
 クラーク博士像は大人気で、何台もの観光バスに乗ってやってきた修学旅行の高校生たちに取り囲まれていた。高校生たちはクラーク博士と同じよう手を伸ばしたポーズで記念撮影をしたり、クラーク博士像をバックにクラスごとの集合写真を撮っている。
「少年よ、大志を抱け!」
 このフレーズは今でも生きていると、そう思わせるような光景だ。
 羊ヶ丘展望台にある「羊ヶ丘レストハウス」で昼食。
 ここの名物、「ジンギスカン定食」を食べ、札幌市内に戻っていくのだった。

羊ヶ丘展望台
「羊ヶ丘レストハウス」のジンギスカン


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