カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

温泉めぐり日本一周[67日目]

投稿日:2017年12月6日

能登半島へと入っていく

西部編 18日目(2007年1月27日)

 床鍋温泉の一軒宿「床鍋鉱泉」で泊った夜、大雨はひと晩中、降りつづいた。明け方になると、「ゴロゴロドカーン」と激しい雷雨になる。雪にならないでほんとうによかった。朝湯に入り、ご飯、味噌汁、塩ジャケ、湯豆腐、カブラ、漬物の朝食を食べ、出発は雨がすこし小降りになった9時20分。宿のご夫妻は雨の中、外に出て見送ってくれた。

 能登半島付け根の山中から富山湾岸の氷見に下り、氷見からは国道160号を北へ、能登半島へと入っていく。

 第1湯目は氷見阿尾ノ浦温泉。ここでは温泉旅館の「こーざぶろう」、「魚眠洞」とまわったが、入浴のみは不可。温泉民宿「げんろく」の湯に入れた。内風呂のみ。塩分を含んだしょっぱい湯。

 第2湯目は氷見岩井戸温泉「潮の香亭」の湯。ここは「氷見グランドホテル マイアミ」の別棟の入浴施設。入浴時間は7時から22時までなので入りやすい。屋根つきの大浴場にどっぷりつかる。塩分を含んだ濁り湯だ。

 第3湯目は氷見九殿浜温泉「ひみのはな」の湯。露天風呂からは富山湾を見る。壺湯もある。壺湯に入ると、ザーッと音をたてて湯が流れ出るが、その瞬間は快感だ。

 氷見の3湯に入り、富山・石川の県境を越えた。

 このころになると天気はめまぐるしく変わる。雨が上がって日が差したと思うまもなく、真っ黒な雲が押し寄せ、ザーッと雨が降ってくる。しばらくすると、空が明るくなってふたたび日が差してくるという繰り返し。
「おいおい、晴れか雨か、はっきりしてくれよ〜」
 といいたくなるような天気だった。

 第4湯目は湯川温泉「龍王閣」。海岸から離れた山間の一軒宿。小さな湯船の茶色い湯につかる。源泉は51度。宿の主人は「温泉の良さでいったら、ウチの湯は(能登第一の名湯の)和倉温泉にも負けませんよ」といっていた。次の赤崎温泉はまだ湯を沸かしていないということで入れなかった。

 第5湯目は和倉温泉。能登最大の温泉地だ。共同浴場の「総湯」に入ったが、さすが人気の湯だけあってワサワサ混みあっていた。観光バスでやってきた団体さんも入っている。大浴場と小さな露天風呂の塩湯につかり、湯から上がると、食堂で昼食。「にしんそば」を食べた。予期した以上の身欠きニシンの味の良さ!

 食堂では和倉温泉の温泉宿で仕事しているおばちゃんたちの話を聞いていた。あまりにも大きな声なので、いやでも耳に入ってくる。話題はもっぱら和倉温泉の超有名な温泉宿。(あそこは)いわれるほど料理がよくないとか、従業員たちはお高くとまっているとか、(夕食のあと)宿にすすめられて入った店で何万円もぼられた客がいるとか。パワー全開のおばちゃんたちの話は、とどまるところをしらなかった。

 そんな和倉温泉から能登大橋で能登島に渡る。

 第6湯目はひょっこり温泉「島の湯」。大浴場と大露天風呂の湯はかなり濃い塩湯。両手の指、10本全部には何箇所ものアカギレが切れているので、湯につかった瞬間の痛みといったらない。「ヒェーッ!」と飛び上がらんばかりにしみた。強烈な「島の湯」の洗礼だ。

 和倉温泉に戻ると、国道249号を北へ。さんざん探しまわった能登中島温泉は廃業湯で入れず。

 第7湯目はなかじま猿田彦温泉「いやしの湯」。露天風呂につかりながら目の前の海を見る。海の見える温泉というのはいいものだ。

 穴水からさらに国道249号を行く。

 第8湯目は国道沿いのPA「七見ポケットパーク」にある七見温泉の日帰り湯「なごみ」。大浴場と露天風呂の塩分の濃い湯につかる。すでに日は暮れ、まぶしいくらいに明るい漁火が見えた。湯から上がると夕食。「ラーメンライス」を食べたが、ラーメンには甘味を加えてあって、まいった…。今の日本は「甘い」が「うまい」の同義語になっている感があるが、「おいおい、何でも甘くすればいいというものではありませんよ」といいたくなるほどの味。

 甘いラーメンを食べ終わって外に出ると、ぼくを待ち構えている人がいた。永野成明さんだ。朝の9時に新潟県の直江津を出発し、「カソリの捕獲」を目指して能登半島にやってきた。この先の縄文真脇温泉の湯に入り、「今来るか、今来るか…」で、ずっと待っていたとのこと。だが、ついに諦め、七見温泉に立ち寄った。「(それだけに)カソリさんのジェベルを見つけたときはうれしかったですよ」という。そんな永野さんと第9湯目の縄文真脇温泉へ。永野さんにとってはさんざんつかった湯だ。

 縄文真脇温泉の日帰り湯「縄文真脇温泉」は日本でも最大級の縄文遺跡の中にある。内風呂も露天風呂もきわめて趣向をこらしたユニークなのもの。そんな湯につかりながら永野さんと「湯の中談義」。大のバイク好きの永野さんはBMWのR100GSとモトグッチ1000S、それとホンダのXLR80に乗っている。外車が好きなようで、今回は車で来たがフィアットだ。湯から上がると、永野さんと牛乳で乾杯。濃厚な味わいの能登産の牛乳。永野さんはカソリ本の『バイクで駆けるインドシナ1万キロ』(JTB)を持ってきてくれた。それにサインして永野さんと別れた。永野さんは夜通し走って直江津に戻っていく。ぼくは今晩の宿、能登半島中央部の柳田温泉へ。国民宿舎「能登やなぎだ荘」に到着したのは21時だった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 床鍋温泉「床鍋鉱泉」
朝食 床鍋温泉「床鍋鉱泉」 ご飯、味噌汁、塩ジャケ、湯豆腐、カブラ、漬物
9時20分 床鍋温泉「床鍋鉱泉」を出発
589湯目 氷見門屋ノ浦温泉「げんろく」(500円)
590湯目 氷見岩井戸温泉「潮の香亭」(500円)
591湯目 氷見九殿浜温泉「ひみのはな」(500円)
石川県に入る
592湯目 湯川温泉「龍王閣」(500円)
赤崎温泉 入れず
593湯目 和倉温泉「総湯」(480円)
昼食 和倉温泉「総湯」 「にしんそば」(550円)
594湯目 ひょっこり温泉「島の湯」(450円)
能登中島温泉 廃業湯
595湯目 なかじま猿田彦温泉「いやしの湯」(450円)
596湯目 七見温泉「なごみ」(450円)
夕食 七見温泉「なごみ」 「ラーメンライス」(650円)
「永野さん」との出会い
597湯目 縄文真脇温泉「縄文真脇温泉」(450円)
「永野さん」との別れ
21時 柳田温泉「能登やなぎだ荘」(1泊朝食5300円)
598湯目 柳田温泉「能登やなぎだ荘」
本日の走行距離数 208キロ
本日の温泉入浴数 10湯

床鍋温泉「床鍋鉱泉」の朝湯に入る「床鍋鉱泉」の朝食氷見門屋ノ浦温泉「げんろく」

床鍋温泉「床鍋鉱泉」の朝湯に入る 「床鍋鉱泉」の朝食 氷見門屋ノ浦温泉「げんろく」

氷見岩井戸温泉「氷見グランドホテル マイアミ」氷見岩井戸温泉「潮の香亭」氷見九殿浜温泉「ひみのはな」

氷見岩井戸温泉「氷見グランドホテル マイアミ」 氷見岩井戸温泉「潮の香亭」 氷見九殿浜温泉「ひみのはな」

国道160号の富山・石川県境湯川温泉「龍王閣」和倉温泉「総湯」

国道160号の富山・石川県境 湯川温泉「龍王閣」 和倉温泉「総湯」

和倉温泉「総湯」の「にしんそば」能登大橋で能登島に渡る能登島から見る七尾湾

和倉温泉「総湯」の「にしんそば」 能登大橋で能登島に渡る 能登島から見る七尾湾

能登島を行くひょっこり温泉「島の湯」なかじま猿田彦温泉「いやしの湯」

能登島を行く ひょっこり温泉「島の湯」 なかじま猿田彦温泉「いやしの湯」

七見温泉「なごみ」「なごみ」の「ラーメンライス」柳田温泉「能登やなぎだ荘」に到着

七見温泉「なごみ」 「なごみ」の「ラーメンライス」 柳田温泉「能登やなぎだ荘」に到着

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