カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

温泉めぐり日本一周[65日目]

投稿日:2017年11月25日

庄川沿いの温泉をめぐる

西部編 16日目(2007年1月25日)

 宮島温泉「滝乃荘」の朝湯に入る。大浴場と八角の湯船のある露天風呂。これはいつものことだけど、朝湯で入る温泉というのはもう最高だ。

 湯から上がったあとの朝食は手のこんだもの。大根の千切り、数の子のわさび漬け、厚揚げ、干物、のり、そば…。泊り客の多くは年配の人たちで、そんな朝食を時間をかけてゆっくりと楽しみながら食べている。食後はロビーでコーヒーを入れてくれる。モーニングコーヒーを飲んでから出発だ。

 夜中に雪が降ったようで、相棒のスズキDJEBEL250XCの上に降り積もった雪を払いのけて走り出す。宮島峡の一ノ滝を見たあと、小矢部市の中心、石動へ。北陸本線の石動駅前でジェベルを止めた。いやはやなんともなつかしい。

 ぼくは今は神奈川県の伊勢原市に住んでいるが、東京生まれの東京育ち。父も祖父も東京生まれだが、母方の祖母がここ、石動の出身だ。4歳か5歳のころ、一度だけ母に連れられて石動に来たことがある。我が人生、最初の大旅行だった。蒸気機関車に乗り、石動駅で降り立ったときは煤で顔が真っ黒。春先で田んぼには一面にレンゲの花が咲いていた。それは生まれて初めて見るレンゲの花だった。

 小矢部川にかかる鉄橋がお気に入りのポイントで、そこで鉄橋を渡る北陸本線の列車を眺めた。貨物列車が通ると、4、50両編成の長い列車を「1、2、3…」と数えた。そのうちに見るだけでは我慢できず、鉄橋を歩いて渡った。それがバレてしまい、大目玉を食らった。母方の祖母は気丈な人。平気な顔をして真っ赤に燃える炭を手でつかんでしまうような人で、ぼくの体にはそんな祖母から受け継いだ越中人のDNAも組み込まれている。

 前日にひきつづいての庄川流域の温泉めぐりを開始する。

 ところが安田温泉は廃業湯で入れず、観音温泉も廃業湯で入れず、井波の「交流館ラフォーレ」はさんざん探してやっと見つけたが、ここは天然温泉ではないようなのでパス。おまき温泉「スパガーデン和園」はボイラーのトラブルでオープンは午後だという。さらに利賀温泉「そばの宿」は廃業湯…。

 ということで第1湯目の天竺温泉「天竺の湯」にやっと入れた。ここは「天竺温泉の郷」にある日帰り湯。周辺はかなりの雪。冬の間はそう簡単には来られないようなところなので、入浴客はまったくいない。大浴場と露天風呂はともに「貸切湯」状態。露天風呂につかりながら眺める雪景色がたまらない。そんな「天竺の湯」から上がると、「天竺温泉の郷」のレストランで昼食。利賀そばの「ざるそば」を食べた。骨太の、しっかりとしたかみごたえのあるそばだった。

 天竺温泉からおまき温泉に戻り、第2湯目の「スーパーガーデン和園」の湯に入った。

 ここからは庄川沿いの国道156号を南下する。

 第3湯目は長崎温泉。庄川にかかる赤い橋を渡り、山中に入ったところにある温泉旅館「北原荘」の湯に入る。古民家を移築した太い柱の建物。大浴場と大岩の露天風呂の湯につかった。湯から上がるとうれしい出会い。「よねさん」がぼくを待ち構えていた。「カソリさんの動きは読みにくいですよ。おおまき温泉ではバイクの人は行ったばかりだといわれて…。でもこうしてカソリさんを捕獲できてうれしいです」という「よねさん」には差し入れをごっそりもらった。「よねさん」はぼくの『中年ライダーのすすめ』を読んで青春の日々を思い出し、スカイウエイブ400を衝動買い。そのときは奥さまに散々、怒られたという。

 そんな「よねさん」と一緒に庄川沿いの温泉をめぐる。

 第4湯目は新五箇山温泉「ゆ〜楽」の湯。大浴場と露天風呂。露天風呂は絶景湯。湯につかりながら庄川の谷を見下ろす。

 第5湯目はくろば温泉の一軒宿「くろば温泉」の湯。内風呂と露天風呂。ここでは湯につかりながら「よねさん」との湯の中談義で盛り上がった。「よねさん」は温泉大好き。呉西の温泉は総ナメにしている。温泉愛好会の会長もしているようだ。

 第6湯目は五箇山温泉「五箇山荘」の湯。大浴場と露天風呂。ここも露天風呂は絶景湯で、湯につかりながら暮れなずむ五箇山の山々を眺めた。

 五箇山温泉を後にすると、国道304号の五箇山トンネルを抜けて砺波平野へと下っていく。世界がガラリと変わる。

 第7湯目は林道温泉。山裾にある温泉宿で、「よねさん」は「ここはディープですよ」と、「ディープさ」を強調する。ぼくは以前に入ったことがあるのでさほど驚かなかったが、初めての人だとちょっとびっくりするような温泉宿。小さめな湯船につかりながら砺波平野の夜景を見下ろした。この大展望は林道温泉の大きな魅力。湯から上がると、宿の女将さんは「ウチのお湯は湯ざめしないのよね。体の芯までよ〜くあたたまるのよ」という。そんな林道温泉で「よねさん」と別れた。

 第8湯目は花椿温泉「ゆ〜ゆうランド花椿」の湯。内風呂と露天風呂はともに濁り湯。湯から上がると、「よねさん」の差し入れのリポビタンDを飲んだ。つづいて第9湯目の桜ヶ池温泉「桜ヶ池クアガーデン」の湯に入り、福光へ。今晩の宿は法林寺温泉の一軒宿「法林寺温泉」。第10湯目の宿湯から上がると夕食。「よねさん」の差し入れのますずしとゆで卵、魚肉ソーセージをビールを飲みながらいただいた。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 宮島温泉「滝乃荘」
朝食 宮島温泉「滝乃荘」 ご飯、干物、数の子のわさび漬け、切干ダイコン、レンコンの煮物、厚揚げ、サラダ、のり、そば、味噌汁
9時30分 宮島温泉「滝乃荘」を出発
安田温泉 廃業湯
観音温泉 廃業湯
井波の「交流館ラフォーレ」 天然温泉ではないようなのでパス
利賀温泉 廃業湯
568湯目 天竺温泉「天竺の湯」(600円)
昼食 天竺温泉「天竺の湯」 「ざるそば」(650円)
569湯目 おまき温泉「スパガーデン和園」(500円)
570湯目 長崎温泉「北原荘」(500円)
「よねさん」との出会い
571湯目 新五箇山温泉「ゆ〜楽」(500円)
572湯目 くろば温泉「くろば温泉」(600円)
573湯目 五箇山温泉「五箇山荘」(400円)
574湯目 林道温泉「林道温泉」(350円)
「よねさん」との別れ
575湯目 花椿温泉「ゆ〜ゆうランド花椿」(500円)
576湯目 桜ヶ池温泉「桜ヶ池クアガーデン」(500円)
21時30分 法林寺温泉「法林寺温泉」(1泊朝食4550円)
577湯目 法林寺温泉「法林寺温泉」
夕食 「よねさん」の差し入れ ますずし、ゆで卵、魚肉ソーセージ
本日の走行距離数 185キロ
本日の温泉入浴数 10湯 

宮島温泉「滝乃荘」の朝食宮島温泉「滝乃荘」を出発宮島渓谷の一ノ滝

宮島温泉「滝乃荘」の朝食 宮島温泉「滝乃荘」を出発 宮島渓谷の一ノ滝

JR石動駅観音温泉近くの安居寺庄川の谷間に入っていく

JR石動駅 観音温泉近くの安居寺 庄川の谷間に入っていく

雪が深くなる庄川の雪景色利賀の雪道

雪が深くなる 庄川の雪景色 利賀の雪道

天竺温泉「天竺の湯」に到着「天竺の湯」の大浴場「天竺の湯」の露天風呂

天竺温泉「天竺の湯」に到着 「天竺の湯」の大浴場 「天竺の湯」の露天風呂

「天竺の湯」の露天風呂に入る「天竺の湯」の「ざるそば」おまき温泉「スパガーデン和園」

「天竺の湯」の露天風呂に入る 「天竺の湯」の「ざるそば」 おまき温泉「スパガーデン和園」

「スパガーデン和園」の露天風呂「スパガーデン和園」の露天風呂に入る庄川の船着き場

「スパガーデン和園」の露天風呂 「スパガーデン和園」の露天風呂に入る 庄川の船着き場

長崎温泉「北原荘」「北原荘」の露天風呂「北原荘」の露天風呂に入る

長崎温泉「北原荘」 「北原荘」の露天風呂 「北原荘」の露天風呂に入る

新五箇山温泉「ゆ〜楽」くろば温泉五箇山温泉「五箇山荘」

新五箇山温泉「ゆ〜楽」 くろば温泉 五箇山温泉「五箇山荘」

「五箇山荘」の「五箇山温泉物語」「五箇山荘」の大浴場林道温泉の湯

「五箇山荘」の「五箇山温泉物語」 「五箇山荘」の大浴場 林道温泉の湯

花椿温泉「ゆ〜ゆうランド花椿」法林寺温泉の一軒宿「法林寺温泉」に到着夕食は「よねさん」の差し入れ

花椿温泉「ゆ〜ゆうランド花椿」 法林寺温泉の一軒宿「法林寺温泉」に到着 夕食は「よねさん」の差し入れ

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