カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

温泉めぐり日本一周[53日目]

投稿日:2017年10月3日

冬に来てこそわかる

西部編 4日目(2007年1月13日)

 前橋駅前の「東横イン」の「おにぎり&味噌汁」の朝食を食べ、8時30分に出発。ここで「オバラッチ」との別れ。オバラッチは前橋から盛岡に帰っていく。

 前橋から国道17号で高崎へ。高崎からは国道18号で信州へ。

 天気は快晴で、雲ひとつない。横川では「おぎのや」で「峠の釜めし」を食べた。これはもう碓氷峠を越えるときの約束事のようなもの。

 横川からは碓氷バイパスで群馬・長野県境の入山峠へ。峠でスズキDJEBEL250XCを止めたが、はく息は真っ白…。

 天気はガラリと変わった。青空は消え、雪がチラチラ降っている。さあ、「甲信編」につづいての、「信州編」第2弾目の開始。長野県に入ると、「さー、行くぞ!」とジェベルにひと声かけて峠道を下っていく。きれいに除雪されているので路面に雪はない。

 ところでこの関東と信州を分ける入山峠は歴史の古い峠で、中山道以前の東山道はここを通っていた。それが中山道の時代になると、北の旧碓氷峠がメインになり、自動車道の時代になると碓氷峠に移った。そして新道の碓氷バイパスは、一番古い入山峠に戻った。入山峠→旧碓氷峠→碓氷峠→入山峠と時代とともに峠は動いている。峠は時代とともに移るもの。そのあたりが不動の山との大きな違いだ。

 第1湯目は塩沢温泉にしようと一軒宿の「高林閣」に行くと休業中。ということで軽井沢の星野温泉の日帰り湯「トンボの湯」が第1湯目になった。ここの入浴料は1200円で、上限の1000円を超えるが、迷った末に入った。第1湯目なので、「まあ(何でも)高い軽井沢だから仕方ないか…」という結論だ。露天風呂の温めの湯につかっていると、伊那で一緒に走った「まさやん」の言葉が思い出された。「信州人は1000円も払って温泉には入りませんよ」。日本でも有数の「温泉大国」の信州には安い入浴料金で入れる温泉がいくらでもあるからだ。ということで1000円を超える入浴料の軽井沢は、信州というよりも関東の世界になる。

「トンボの湯」から上がり、駐車場に止めた我がジェベルを見て、あっと驚いた。何とハンドルには暖かそうなハンドルカバーがついているではないか。「いったいこれはどういうことなの?」と考え込んだそのとき、「K氏」が登場。「K氏」こと昭文社の桑原さんが何くわぬ顔で立っている。そのハンドルカバーは桑原さんがつけてくれたものだ。こうして小原さんと入れ替わるようにして、桑原さんが「関東編」につづいて同行してくれることになった。

 第2湯目の塩壷温泉「塩壷温泉ホテル」の湯に入ったあと、千ヶ滝温泉へ。ここは入浴料が1500円なのでパスした。

 小諸から第3湯目の高峰温泉へ。標高2000メートルを超える日本でも有数の高地の温泉。バイクで行けるかどうか、わからなかったが、ダメならば引き返せばいい。長野・群馬県境の車坂峠に向かっていくと、登るにつれて雪が多くなる。幸い天気が回復し、青空が見え、気温も上がっているので助かった。雪&氷で転倒することもなく、標高1973メートルの車坂峠に到達。風が冷たくって、ヘルメットを脱ぐと耳がちぎれそうになるほど痛い。峠をわずかに下り、高峰温泉への案内の矢印を曲がろうとしたとき、ツルツルの氷にハンドルをとられ、ステーンと転倒。これが「温泉めぐり日本一周」での初転倒になる。ジェベルを起こし、さらに突き進んだが、道はその先のスキー場の駐車場で途切れた。

 そこからは雪道を歩く。稜線までのスロープを登っていく区間は苦しくて、ヒーヒーハーハー、肩で大きく息をする。そのすぐわきをスキーヤーが気持ちよさげにスーッと滑り降りていく。そんな思いをしてたどり着いた高峰温泉。さっそく小さめな檜風呂の湯につかり、下界を見下ろした。はるかかなたの蓼科山、八ヶ岳まで一望する「絶景湯」。高峰温泉からの帰路はラッキーにも、宿の雪上車に乗せてもらえた。乗り物大好きなカソリ、初体験に大喜び。苦戦して登った雪道も、雪上車だとあっというまの距離でしかない。そのわずかな間では、まるでシベリアの雪原を行くかのような胸のときめきをおぼえた。冬に来てこそわかる高峰温泉だ。

 車坂峠を下り、第4湯目の菱野温泉に向かっていく途中では「KYYさん」に再会。「KYYさん」の案内で、おすすめの菱野温泉「常盤館」に行く。ここでは「登山電車」に乗って展望露天風呂の「雲の助」まで上がった。標高1050メートルの桶風呂につかりながら千曲川の谷間の風景を見下ろした。

 菱野温泉で「KYYさん」と別れ、ナイトランでの温泉めぐりが始まる。

 第5湯目のみづほ温泉「湯楽里館」は大混雑。大浴場も露天風呂も人、人、人だった。

 第6湯目の千古温泉「千古温泉旅館」の湯はじつにやわらかなツルツル湯。湯のかすかな匂いもいい。

 第7湯目は真田温泉「ふれあいさなだ館」の湯。ジャグジーの円形の湯船。温めの湯につかり、露天風呂へ。外に出ると、強烈な寒さ。思わず身震いした。露天風呂に入ると、早々に内風呂の湯に入りなおした。日が暮れてからの信州の寒さは関東とは比較にならない。

 真田温泉の湯から上がると、「甲信編」のときにも泊った上田の秋和温泉「秋和鉱泉旅館」へ。宿に到着したのは20時20分という遅い時間だったのにもかかわらず、夕食を用意して待ってくれていた。湯から上がると夕食。刺身の皿には「鯉の洗い」がのっている。味噌汁も濃厚な味わいの「鯉こく」だ。桑原さんと鯉料理に舌鼓を打ちながら、ビンビールを空けていく。部屋に戻ると、今度はコンビニで仕入れたカンビールを次々に空にしていく。オバラッチとも毎夜、宴会だったが、これが桑原さんとの連夜の宴会の始まりだ。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝食 前橋駅前の「東横イン」 おにぎり、味噌汁
8時30分 出発
「オバラッチ」との別れ…
昼食 横川の「おぎのや」 「峠の釜めし」(900円)
入山峠 峠越え
長野県に入る
塩沢温泉「高林閣」 休業中
449湯目 星野温泉「トンボの湯」(1200円)※特例で入る
「桑原さん」との出会い。このあと5日間、同行してくれる
450湯目 塩壷温泉「塩壷温泉ホテル」(1000円)
千ヶ滝温泉 入浴料が1500円なのでパス
車坂峠 峠返し
451湯目 高峰温泉「高峰温泉」(500円)
「KYYさん」との出会い
452湯目 菱野温泉「常盤館」(1000円)
「KYYさん」との別れ
453湯目 みずほ温泉「湯楽里館」(500円)
454湯目 千古温泉「千古温泉旅館」(500円)
455湯目 真田温泉「ふれあいさなだ館」(400円)
20時20分 秋和温泉「秋和鉱泉旅館」(1泊2食7100円)
夕食 ご飯、コイの洗い、牛の鍋、天ぷら、青菜のおひたし、コイコク
本日の走行距離数 153キロ
本日の温泉入浴数 7湯

前橋駅前の「東横イン」を出発松井田の国道18号から見る妙義山横川の「おぎのや」の「峠の釜めし」

前橋駅前の「東横イン」を出発 松井田の国道18号から見る妙義山 横川の「おぎのや」の「峠の釜めし」

国道18号の碓氷バイパスの入山峠信州は雪景色塩沢温泉「高林閣」は休業中

国道18号の碓氷バイパスの入山峠 信州は雪景色 塩沢温泉「高林閣」は休業中

星野温泉「トンボの湯」塩壷温泉「塩壷温泉ホテル」に到着「塩壷温泉ホテル」の大浴場

星野温泉「トンボの湯」 塩壷温泉「塩壷温泉ホテル」に到着 「塩壷温泉ホテル」の大浴場

「塩壷温泉ホテル」の露天風呂軽井沢の雪道を走る千ヶ滝温泉は入浴料が1500円なのでパス

「塩壷温泉ホテル」の露天風呂 軽井沢の雪道を走る 千ヶ滝温泉は入浴料が1500円なのでパス

雪が深くなる車坂峠に到達!高峰温泉の湯に入る

雪が深くなる 車坂峠に到達! 高峰温泉の湯に入る

高峰温泉の雪上車高峰温泉の雪上車に乗る「KYYさん」の案内で菱野温泉「常盤館」に到着

高峰温泉の雪上車 高峰温泉の雪上車に乗る 「KYYさん」の案内で菱野温泉「常盤館」に到着

菱野温泉「常盤館」の登山電車に乗る「常盤館」の桶風呂に入る千古温泉「千古温泉旅館」

菱野温泉「常盤館」の登山電車に乗る 「常盤館」の桶風呂に入る 千古温泉「千古温泉旅館」

真田温泉「ふれあいさなだ館」秋和温泉「秋和鉱泉旅館」の夕食桑原さんからの差し入れ

真田温泉「ふれあいさなだ館」 秋和温泉「秋和鉱泉旅館」の夕食 桑原さんからの差し入れ

Comments

Comments are closed.

  • ツイッター

  • 新刊紹介


    アンダー400 No.67
    12月6日発売

    賀曽利隆の日帰り林道ガイド

    道志村


    風まかせ No.65
    11月6日発売

    巻頭特集
    我、ライダーであり続ける男

    生涯旅人・賀曽利 隆

    HO-BO-NIPPON

    奥秩父 峠道の残照

  • ツーリングマップル

    ツーリング情報満載の地図
    「ツーリングマップル」

    北海道東北関東 甲信越

    中部 北陸関西

    中国・四国九州 沖縄

    リング式、文字の大きな
    「ツーリングマップルR」

    北海道東北関東 甲信越

    中部 北陸関西

    中国・四国九州 沖縄

    発売に寄せて賀曽利のコメント
  • おすすめの一冊


    風をあつめて、ふたたび。
    文:中部博 写真:武田大祐
    平原社

    「すばらしい写真の数々に感動!
    真っ赤な夕日を背にしたカソリ(P228〜P229)も登場しています。
    ぜひともご覧ください」(賀曽利隆)

  • おすすめの一冊


    「日本と違った世界を実際に見ることは、お金では決して買えない、かけがえのない体験です。その後の人生、生き方にもきっと、大きな影響を与えてくれるはずです。ぜひとも、一人でも多くのみなさんが、海外へ飛び出してほしいと願っています。もちろん、僕もまだまだ、走り続けますよ!」

    (賀曽利隆)

    7月24日発売
    360ページ
    出版社:ラピュータ
    価格:1800円+税

  • 携帯からもアクセス

    携帯からのアクセスで不具合が生じました。誠に申し訳ありませんが、パソコン等からアクセスをお願いします。タブレット、スマートフォンからのアクセスは可能です。
  • 3.11 応援ステッカー

    フォトグラファー小原信好さんが、東北応援ステッカーを作成しました。興味のある方はぜひ小原さんのブログ
    http://ameblo.jp/hokkaider/entry-10852098083.html

    をチェックしてください。ステッカーの元データは上記の写真をクリックすることでもダウンロードできます。
Scroll Up