カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

温泉めぐり日本一周[50日目]

投稿日:2017年9月17日

日本橋から本州西部編をスタート

西部編 1日目(2007年1月10日)

 2006年から2007年に年が変わって、さー、「本州西部編」の開始だ。

 1月10日6時45分、東京・日本橋に到着。出発点の日本橋には昭文社の桑原さんや若林さん、井沢さん、大久保さん、デザイナーの大熊さんが来てくれている。「カソリ捕獲」の「ゆーゆーさん」、「甲信編」のときにも来てくれた正木さん、さらに尾原さん、柴田さんらも駆けつけてくれている。そんなみなさんの見送りを受け、7時に日本橋を出発した。

 今回の相棒はスズキDJEBEL250XC。ジェベルでは1996年に「オーストラリア2周7万2000キロ」、1999年には「日本一周4万キロ」を走っている。そのほか「サハリン縦断」や「韓国一周」も。ジェベルでは20万キロ以上走っているので、ぼくにとっては我が分身のようなバイクなのだ。同行してくれるのはカメラマンの「オバラッチ」こと小原信好さん。小原さんは『ツーリングマップル』の「北海道編」を担当している。

 日本橋からは「関東編」のときと同じルートで、国道17号(中山道)から国道254号(川越街道)を行く。池袋、成増と通り、埼玉県に入る。東京を離れると、ほんとうに「旅立った!」という実感が胸にこみあげてくる。

 第1湯目は湯の森温泉「湯の森所沢」。所沢市内の日帰り温泉だ。ここはまたすごいところにあって、パチンコ・パチスロ店と焼肉店にはさまれている。「自然の賜物」の温泉とは似つかわしくないところにあるが、それがまた大都市近郊の温泉らしくていいのかもしれない。とにかく目立つ建物だ。

「湯の森所沢」のいいところは、オープンが6時からと早いこと。営業時間も翌日の4時までと長く、年中無休でやっている。こういう温泉ばかりだと、「300日3000湯」もすごく楽になるのだが…。大浴場から露天風呂と入ったが、大深度温泉(1100m)特有の匂いのする薄茶色の湯。肌がツルツルしてくる美肌系の温泉だ。露天の岩風呂では、これから会社に出勤するという人と「湯の中談義」。やはり温泉の大好きな人で、このあたりでは、にいざ温泉の「彩泉館」の湯が一番いいといっている。それにしても、温泉に入ってから出勤するというのが、何ともいいではないか。この第1湯目で入る温泉の気持ちよさといったらないが、とくに「本州西部編」の第1日目なので、記念碑的であり、ありがたさは格別だ。

「セブンイレブン」で「おにぎり&お〜いお茶」の朝食を食べ、第2湯目の所沢温泉「湯楽の里」の湯に入る。ここも年中無休でやっている。入浴時間は9時から翌日の1時までなので、第1湯目の湯の森温泉同様、入りやすい温泉だ。ここでは壺湯が気に入った。壺湯は3つあるが、ほかには入浴客もいなかったのでひとつづつ入った。ザーッと盛大に湯を流して壺湯につかるシーンをオバラッチに写真に撮ってもらった。

 第3湯目は狭山やまと温泉「狭山やまとの湯」。大浴場と露天風呂に入ったあと、食堂で昼食。「冷麺」を頼んだ。それができるまでの間、畳の上で横になり、「5分寝」をする。熟睡の「5分寝」で目覚めたときの気持ちよさといったらない。温泉に入ったあとだけによけいだ。まるで世界中がキラキラと輝いているかのように見える。体もスーッと楽になっている。

 ところで、ここでなぜ「冷麺」を食べたかったかというと、もちろん一番の理由は食べたかったからなのだが、「オバラッチ」が盛岡の人間だという理由も大きい。そこでまずはオバラッチに「冷麺」を味見してもらった。本場、盛岡の「冷麺」を食べ慣れているだけあって、オバラッチのコメントは手厳しい。

「これは話にならん」
 というのが第一声だ。
「これは冷麺ではない」
「汁にダシが入ってない」
「ただ、キムチが辛いだけだ」
 と、次々に辛口のコメントが飛び出した。

 韓国・ソウルの「平壌冷麺」のみならず、北朝鮮でも「田舎冷麺」を食べたことのあるカソリは、そんなオバラッチを目の前にして、
「いや〜、おいしいですよ」
 といって「狭山冷麺」を食べるのだった。

 こうして大東京近郊の3湯に入ったあと、東京大環状の国道16号を横切り、入間川を渡る。前方には奥武蔵の山々が連なっている。そんな奥武蔵の玄関口の飯能から入間川上流の名栗川に沿って山伏峠に向かっていく。

 第4湯目は名栗温泉「大松閣」の湯。ここには「展望風呂」と「古代檜風呂」があるが、入浴料の上限を1000円にしているので、800円の「古代檜風呂」の方に入った(「展望風呂」の入浴料は1300円)。古代檜を使った湯船の感触がすごくいい。

 この「大松閣」の湯には何度か入っている。ぼくは日本中の林道をバイクで走りまくっているが、「大松閣」のすぐわきを通る道はダート距離が20キロを越える大名栗林道の入口になる。関東有数のロングダートを走るたびに「大松閣」の湯に入っているが、林道走行とからめた温泉というのもすごくいいものだ。ここにはもう1ヵ所、日帰り湯の「さわらびの湯」もある。

 山伏峠を越えて秩父へ。「関東編」にひきつづいての「秩父の温泉めぐり」第2弾目。

 第5湯目は新木温泉「新木鉱泉旅館」の湯。内風呂は木枠の湯船。露天風呂は円形の木の湯船。そのほか一人用の小さな木の湯船と一人用の桶湯がある。そんな新木温泉の湯から上がると、洒落た休憩室で自販機の「バニラアイス」を食べた。「新木鉱泉旅館」は雰囲気のある宿。玄関前からは秩父のシンボル、武甲山がよく見ええる。石灰岩の採掘で痛々しい姿になってしまったが、夕日を浴びた武甲山は傷口を隠し、きれいなシルエットになっている。

 バイクに戻ると、ハンドルには「リポビタンD」と「魚肉ソーセージ」の入ったビニール袋がかけられていた。「きっと誰か、来てくれたんだ。もうすこし待ってくれたらよかったのに…」と思った瞬間、「ゆーゆーさん」がいたずらっぽい目をして登場。

「カソリさんの動きが読みづらくって、みつけるのが大変だった」という「ゆーゆーさん」と、次の第6湯目の美の山温泉まで一緒に行った。「いこいの村ヘリテイジ美の山」の湯に入り、湯から上がると食堂で夕食。3人で煮込みうどんの「おっきりこみ」を食べた。

 美の山温泉で「ゆーゆーさん」と別れると、次に津谷木温泉「クアパレス小鹿野」に行く。残念ながら受付の時間は20時までということで入れなかった。到着したのは20時10分だったのだが…。まあ仕方ないか。カソリ&オバラッチ、その夜は丸山温泉の「丸山鉱泉旅館」に泊まった。さっそく第7湯目の宿湯に入る。長い廊下を歩いて浴室へ。内風呂と露天風呂の薄茶色の湯にどっぷりつかった。湯から上がると、部屋の炬燵に入ってオバラッチとビールで乾杯。ゆーゆーさんが差し入れてくれた魚肉ソーセージを肴にして乾杯を繰り返すのだった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
7時 日本橋を出発。「オバラッチ」が同行してくれる
埼玉県に入る
420湯目 湯の森温泉「湯の森所沢」(700円)
朝食 「セブンイレブン」 おにぎり2個&お〜いお茶(486円)
421湯目 所沢温泉「湯楽の里」(700円)
422湯目 狭山やまと温泉「狭山やまとの湯」(700円)
昼食 狭山やまと温泉「狭山やまとの湯」 「冷麺」(660円)
423湯目 名栗温泉「大松閣」(800円)
山伏峠 峠越え
424湯目 新木温泉「新木鉱泉旅館」(800円)
「ゆーゆーさん」との出会い
425湯目 美の山温泉「いこいの村ヘリテイジ美の山」(840円)
夕食 美の山温泉「いこいの村ヘリテイジ美の山」 「おっきりこみ」(1050円)
「ゆーゆーさん」との別れ
津谷木温泉「クアパレス小鹿野」 受付終了で入れず
21時 丸山温泉「丸山鉱泉旅館」(1泊朝食7350円)
426湯目 丸山温泉「丸山鉱泉旅館」
本日の走行距離数 174キロ
本日の温泉入浴数 7湯

東京・日本橋を出発湯の森温泉「湯の森所沢」「セブンイレブン」で朝食

東京・日本橋を出発 湯の森温泉「湯の森所沢」 「セブンイレブン」で朝食

所沢温泉「湯楽の里」「湯楽の里」の前に立つオバラッチ"「湯楽の里」の壺湯に入る

所沢温泉「湯楽の里」 「湯楽の里」の前に立つオバラッチ 「湯楽の里」の壺湯に入る

狭山やまと温泉「狭山やまとの湯」「狭山やまとの湯」の「冷麺」名栗温泉「大松閣」

狭山やまと温泉「狭山やまとの湯」 「狭山やまとの湯」の「冷麺」 名栗温泉「大松閣」

山伏峠に立つ!秩父のシンボルの武甲山新木温泉「新木鉱泉旅館」

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「新木鉱泉旅館」の湯「新木鉱泉旅館」の桶湯に入る「ゆーゆーさん」が差し入れてくれた「リポビタンD&魚肉ソーセージ」

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美の山温泉「いこいの村ヘリテイジ美の山」の「おっきりこみ」津谷木温泉「クアパレス小鹿野」には受付終了で入れず…丸山温泉「丸山鉱泉旅館」に到着!

美の山温泉「いこいの村ヘリテイジ美の山」の「おっきりこみ」 津谷木温泉「クアパレス小鹿野」には受付終了で入れず… 丸山温泉「丸山鉱泉旅館」に到着!

「丸山鉱泉旅館」の湯から上がると、オバラッチとビールで乾杯!

「丸山鉱泉旅館」の湯から上がると、オバラッチとビールで乾杯!    

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