カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

温泉めぐり日本一周[20]

投稿日:2017年7月11日

カソリ、女湯に入る

関東編 20日目(2006年11月20日)

 袋田温泉「思い出浪漫館」での朝湯はけっこう辛いものになった。湯につかりながらもうガックリ…。空一面に雨雲がべたっと張り付き、ザーザー音をたてて雨が降っている。前日の大雨で濁流になった目の前の袋田川の流れを見ながら湯につかる。それでもカソリ、「なーに、温泉めぐりに天気は関係ないさ」と強がりをいう。

 朝湯から上がるとバイキングの朝食。「今日は雨に負けないようにしっかりと食べよう」と、いつも以上に気合を入れて食べた。まずはスクランブルエッグと玉子焼き、サラダ、カレイの一夜干し、さつま揚げ、シュウマイで1杯目、納豆とのり、シラスおろしで2杯目を食べ、梅干をのせた朝粥を3杯目にした。そしてオレンジ、グレープフルーツ、パイナップルのデザート。さすが「贅沢湯宿」だけあって、朝食はおいしくいただけた。

 さあ、出発。雨具を着て走り出すというのは何ともいやなものだ。まずは袋田の滝へ。昨日の大雨でものすごい水量。いままでに見たこともないような袋田の滝だった。

 第1湯目は月居温泉「白木荘」の「滝見の湯」。ザーザー降りの雨にもかかわらず、内風呂、露天風呂ともに地元のみなさんたちで混み合っていた。この月居温泉のすぐ近くには、あまり知られていないが、もうひとつの名瀑の生瀬の滝がある。

 第2湯目は大子温泉の日帰り湯「森林の温泉」。大浴場の湯にはたくさんのリンゴが浮かんでいた。このあたりの奥久慈はリンゴの産地。国道118号沿いにはリンゴの売店を見かける。ここの大露天風呂には3つの湯船。気持ちよく入れる「森林の温泉」。湯から上がると、そば打ちの実演を見る。

「森林の温泉」の大広間でリンゴジュースを飲みながら『ツーリングマップル関東』を見ていると、大子温泉の近くに淺川温泉「弁天の湯」を発見。さっそく行ってみる。田園地帯の一軒宿の温泉。玄関前には見事な藤棚。広い敷地の一角には弁天がまつられ、温泉スタンドもある。入浴を頼むと、「夕方の4時以降なら入れますよ」と女将さんにいわれた。それを聞いたとたん、ぼくはひらめいた。「昨夜、入りそこねた馬頭温泉郷の温泉をめぐろう」と。「もう一度、栃木県に戻り、馬頭温泉郷の温泉をめぐり、また大子に戻ってくれば、ちょうど4時ぐらいになる」と計算した。

 大子から昨夜、雨中走行で大苦戦した国道461号を走り、栃木県に戻る。同じ雨中走行でも昼間の方がはるかに楽だ。馬頭の町並みを抜けたところで、「八溝温泉」の看板を見つける。夜だとまったく見えなかった。こうして第3湯目、八溝温泉の日帰り湯「八溝温泉」の湯に入った。入浴客はぼく一人。ぬめりのある湯にどっぷりつかる。窓をあけると森林の風景。渓流を見下ろす。周辺にはまだ色鮮やかな紅葉が残っていた。

 八溝温泉のあとは馬頭温泉郷に突入する。

 第4湯目は南平台温泉の日帰り湯「観音湯」。ここは膨大な湯量を誇る温泉。高台にある温泉なので眺望抜群。那珂川を見下ろし、その向こうの小川の町並みを一望する。湯から上がると1階の大広間で昼食にする。「石焼きビビンバ」を頼んだのだが、いつものように出来るまでの数分間はグッスリと眠った。ここの2階には舞台があり、大衆演劇の「みなみ座」の公演がおこなわれていた。

 第5湯目は小砂温泉の日帰り湯「美玉の湯」、最後に小川温泉「まほろばの湯」に行ったが、残念ながら休館日で入れなかった。

 再度、栃木県から茨城県に入り、第6湯目の淺川温泉「弁天の湯」に戻ったのは16時15分。ドンピシャのタイミング。「女湯」の方はすでに湯が溜まっているという。何とはなしに気が引けるのだが、女将さんにいわれるままに、「女湯」に入った。小さめな湯船の温めの湯。「うちの湯は源泉だけ。よくあたたまるんですよ」という女将さんの言葉どおり、湯から上がったときは体の芯からぽかぽかしてきた。

 大子から国道118号を南下。昨夜と同じような雨中のナイトラン。国道からわずかに左手に入った湯沢温泉が第7湯目。「湯沢温泉ホテル」の湯に入った。八角形の木の湯船。無色透明の湯はやわらかで、体にまとわりつくような感触。「水戸藩主湯守」だけのことはある。

 最後に日帰り湯の「金砂の湯」に行く。ここの入浴時間は10時から21時までだが、月曜日は16時までで入れなかった。今日は月曜日。残念無念…。この「金砂の湯」でもって茨城県の温泉めぐりは終了。海岸一帯にある温泉はこのあとの「本州東部編」でまわるのだ。

 国道118号沿いのラーメン店で「ラーメンライス」の夕食を食べ、19時45分、常磐道の那珂ICに到着。雨の高速道路をひた走り東京へ。大東京は首都高で走り抜け、東名に入り、24時15分、神奈川県伊勢原市の我が家に戻ってきた。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 袋田温泉「思い出浪漫館」
朝食 袋田温泉「思い出浪漫館」 バイキング
9時 袋田温泉「思い出浪漫館」を出発
袋田の滝(300円)
164湯目 月居温泉「白木荘」の「滝見の湯」(300円)
165湯目 大子温泉「森林の温泉」(700円)
栃木県に入る
166湯目 八溝温泉「八溝温泉」(400円)
167湯目 南平台温泉「観音湯」(700円)
昼食 南平台温泉「観音湯」 「石焼きビビンバ」(850円)
小口温泉(入れず)
168湯目 小砂温泉「美玉の湯」(1000円)
小川温泉「まほろばの湯」(休館日で入れず)
茨城県に入る
169湯目 浅川温泉「弁天の湯」(500円)
170湯目 湯沢温泉「湯沢温泉ホテル」(600円)
夕食 国道118号沿いのラーメン店 「醤油ラーメン」(550円)
常磐道→首都高→東名
24時15分 伊勢原 伊勢原市の自宅泊まり
本日の走行距離数 338キロ
本日の温泉入浴数 7湯

袋田温泉「思い出浪漫館」の朝湯に入る袋田温泉「思い出浪漫館」の朝食袋田温泉「思い出浪漫館」を出発

袋田温泉「思い出浪漫館」の朝湯に入る 袋田温泉「思い出浪漫館」の朝食 袋田温泉「思い出浪漫館」を出発

大雨直後の袋田の滝月居温泉「白木荘」の「滝見の湯」大子温泉「森林の温泉」

大雨直後の袋田の滝 月居温泉「白木荘」の「滝見の湯」 大子温泉「森林の温泉」

大子温泉「森林の温泉」のそば打ちの実演大子温泉「森林の温泉」の大広間八溝温泉の日帰り湯「八溝温泉」の湯

大子温泉「森林の温泉」のそば打ちの実演 大子温泉「森林の温泉」の大広間 八溝温泉の日帰り湯「八溝温泉」の湯

八溝温泉周辺の紅葉南平台温泉「観音湯」の「石焼きビビンバ」南平台温泉「観音湯」からの眺め

八溝温泉周辺の紅葉 南平台温泉「観音湯」の「石焼きビビンバ」 南平台温泉「観音湯」からの眺め

小砂温泉「美玉の湯」浅川温泉「弁天の湯」「金砂の湯」には入れず…

小砂温泉「美玉の湯」 浅川温泉「弁天の湯」 「金砂の湯」には入れず…

夕食の「醤油ラーメン」

夕食の「醤油ラーメン」    

Comments

Comments are closed.

  • 新刊紹介(賀曽利隆連載中)


    風まかせ No.64
    9月6日発売

    連載

    「焚火日和」


    アンダー400 No.65
    8月5日発売

    賀曽利隆の日帰り林道ガイド

    北茨城編

  • 新刊紹介

    子どもの心を育む教師と親のため雑誌「児童心理」増刊号に「我が人生最大の危機を救ってくれた母親」と題して賀曽利隆が執筆しています。
    児童心理
    2017年8月号臨時増刊

    第4部
    わが思い出の中の父親・母親

  • ツーリングマップル

    ツーリング情報満載の地図
    「ツーリングマップル」

    北海道東北関東 甲信越

    中部 北陸関西

    中国・四国九州 沖縄

    リング式、文字の大きな
    「ツーリングマップルR」

    北海道東北関東 甲信越

    中部 北陸関西

    中国・四国九州 沖縄

    発売に寄せて賀曽利のコメント
  • 最近の投稿

  • アーカイブ

  • カテゴリー

  • おすすめの一冊


    風をあつめて、ふたたび。
    文:中部博 写真:武田大祐
    平原社

    「すばらしい写真の数々に感動!
    真っ赤な夕日を背にしたカソリ(P228〜P229)も登場しています。
    ぜひともご覧ください」(賀曽利隆)

  • おすすめの一冊


    「日本と違った世界を実際に見ることは、お金では決して買えない、かけがえのない体験です。その後の人生、生き方にもきっと、大きな影響を与えてくれるはずです。ぜひとも、一人でも多くのみなさんが、海外へ飛び出してほしいと願っています。もちろん、僕もまだまだ、走り続けますよ!」

    (賀曽利隆)

    7月24日発売
    360ページ
    出版社:ラピュータ
    価格:1800円+税