カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

V-Strom1000で行く日本[32]

投稿日:2015年12月16日

地球が生きている

2015年9月20日(東京?鹿児島)

 鹿児島の鶴丸城は薩摩藩77万石、島津氏270年間の居城。しかしほとんど何も残っていない。擬宝珠のついた石橋や苔むした石垣、蓮の浮かぶ堀が、かろうじて加賀藩に次ぐ日本第2の大藩の面影をとどめている。城の背後の城山は、明治10年の西南戦争最後の戦場。激戦を物語るように、城跡の石垣には無数の弾痕が残っている。

 鶴丸城跡から城山の山頂に登った。

 城山は鹿児島の町にせり出したシラス台地の先端の小山で高さ108メートル。鹿児島の中心街にある山とは思えないほど豊かな自然を残している。クスやシイ、カシなどの照葉樹に覆われ、バクチやバリバリという珍名の樹木もある。

 山頂の展望台から鹿児島の町並みを見下ろし、噴煙を上げる桜島を間近に眺めた。ここは鹿児島の定番のポイント。鹿児島に来るたびに城山の展望台に立っているが、噴煙の上がっていない桜島を見たことはない。これぞ無限のパワー。桜島には地球の持つ膨大なエネルギーを見せつけられてしまう。

 城山の展望台に初めて立ったのは、今からもう40年近くも前のことになる。それは1978年の「30代編日本一周」の時のことで、その時も桜島は噴煙を上げていた。64日間1万9000キロの「30代編・日本一周」を記した『50ccバイク日本一周ツーリング』(交通タイムス社刊)では次のように書いている。

 鹿児島は桜島の噴火で町全体が黒ずんでいる。火山灰が道端に溜まっている。今年の夏(1978年)は大変だったという。記録破りの猛暑の上に、さらに降りつづく火山灰。窓は開けられず、多くの家がクーラーを買ったという。「桜島のおかげで一番儲かったのは電器屋さんでしょ」と鹿児島で出会った人は言っていた。北の福岡は水不足、南の鹿児島は桜島の噴火。九州の今年の夏は大変だった。

 鹿児島では町を見下ろす城山に登った。城山は鹿児島の町にせり出した火山灰地のシラス台地の先端にある。高さ108メートルの小山で、山頂の展望台に立つと、町の騒音がまるで天井桟敷で聞く劇場のどよめきのように這い上がってくる。足下には天文館、いづろ通り、朝日通りとつづく繁華街のビルが建ち並び、その向こうの錦江湾越しに噴煙を上げる桜島が見える。桜島の噴煙は2000メートル、3000メートルもの高さまで噴き上がっている。それが薩摩半島の方向へ、長く尾を引いて流れていた。

「地球が生きてる!」

 城山の展望台に立って桜島を見ていた修学旅行の高校生たちの中からそんな声が上がった。

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▲鶴丸城跡

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▲鶴丸城の石垣

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▲城山に登っていく

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▲城山から見下ろす鹿児島

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▲噴煙を上げる桜島


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