カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

環日本海ツーリング[100]

投稿日:2012年6月24日

アムール川を遊覧、船上から町並みを眺める

「ロシア軍極東軍管区歴史博物館」の見学を終えると、ロシア正教の教会の前から石段を下り、アムール川の川岸の遊歩道を歩く。ここはハバロフスク市民の憩いの場。露店でロシア人の大好きなクワスを買って飲みながら、アムール川の悠然とした流れを眺めた。
 クワスといえばロシア人の国民的飲料。ユジノサハリンスクでも大ジョッキで飲んだが、ライ麦などを発酵させた弱いアルコール飲料で、ビールをさらに弱くしたようなもの。それをロシア人たちはジュースがわりに飲んでいる。
 クワスを飲み終わったところで、アムール川の遊覧船に乗船。アムール川のクルージングはハバロフスクでのメインイベントだ。
 今度は船内の売店で買ったカンビール、アサヒのスーパードライを飲み、ホットドッグを食べながら、アムール川の流れと川岸につづくハバロフスクの町並みを眺めた。
 アムール川の「アムール」はギリヤーク語の「ダムール(大河)」に由来するというが、まさに大河。まるで海を行くようだ。

ロシア正教の教会


クワスを飲む
アムール川の遊覧船


カンビールとホットドッグ
遊覧船はアムール川を行く


 ハバロフスクはアムール川とウスリー川の合流地点の右岸にできた町。
 1963年3月2日、アムール川に合流するウスリー川の中州、ダマンスキー島(珍宝島)でソ連軍の警備兵と中国人民解放軍の兵士との間で武力衝突が発生した。
 それが引き金になって両国は激しく対立し、核兵器を使っての全面戦争という瀬戸際までいった。世界中がかたずを飲んで見守ったが、コスギン・周恩来会談でかろうじて全面戦争は回避された。この地はまさに世界中に大きな衝撃を与えた現場なのだ。
 その後、1991年の中ソ国境協定でソ連極東の大部分の国境が確定し、ソ連側の譲歩でウスリー川の珍宝島は中国領になった。
 このときの中ソ国境協定でも国境が確定されずに残ったのは、アムール川の3つの島。
 1島はアムール川上流、アルグン川のアバガイト島(阿巴該図島)、もう2島はアムール川とウスリー川合流地点のタラバーロク島(銀龍島)と大ウスリー島(黒瞎子島)。
 これら3島の帰属は解決困難な問題と思われていたが、2004年10月14日、ロシアのプーチン大統領と中国の胡錦濤国家主席の首脳会談で政治決着し、最終的な中露国境協定が結ばれた。
 この結果、アルグン川のアバガイト島(阿巴該図島)は中露両国に分割され、タラバーロク島(銀龍島)の全域と大ウスリー島(黒瞎子島)の西半分が中国領に、大ウスリー島(黒瞎子島)の東半分はロシア領土になった。ロシア側の譲歩によって、最終的な中露国境が確定した。それは1689年のネルチンスク条約から315年後のことだった。
 このように2004年10月14日は中露両国にとっては記念碑的な日だが、何とその前日の2004年10月13日、ぼくは「旧満州走破行」で中国東端の町、撫遠から中国・軽騎スズキ製の110?バイク、QS110で「中国東極」(中国最東端の地)まで行った。黒龍江(アムール川)支流とウスリー江(ウスリー川)の合流地点が東極になっていた。その地に立ち、「やったぜー!」と万歳して「中国東極」への到着を喜んだ。
 その翌日から対岸の大ウスリー島(黒瞎子島)が国境になり、その結果、「中国東極」も若干、東にずれた。ということでぼくは最後の1日に、旧中国最東端の地に立ったことになる。

中国「東極」(最東端地点)に立つ。ここはアムール川(左)とウスリー川の合流地点。2004年10月13日までの東極だ。アムール川の対岸は大ウスリー島(黒瞎子島)、正面の方向がハバロフスクになる(2004年10月13日撮影)


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