カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

環日本海ツーリング[93]番外編

投稿日:2012年6月15日

ユーラシア横断(5)ノボシビルスク→チェラビンスク

2002年7月16日(火)晴のち曇 ノボシビルスク→クイビシェフ 343キロ
 8時、ホテル「オビ」のレストランで朝食。黒パンとチーズ、サラミ、それとライス&オビ川の川魚料理。
 9時、出発。いつものことだが、町を抜け出るまでが大変だ。
 ノボシビルスクからはM51(国道51号)を西へ。西シベリアになると、東シベリアで圧倒的に多かった日本車はぐっと少なくなる。
 国道では頻繁に交通警察の検問がある。警官はスピードガンでチェックしている。標識に従って70キロ、50キロ、30キロと速度を落とす。そこを過ぎると、スズキDR-Z400Sのアクセルを開き、一気に加速し、また120キロ前後で走る。
 12時、草原で昼食。パンとサディーンの缶詰、チーズ、ソーセージ。
 ここではヤマハの1200?、ロイヤルスターでシベリア横断中の吉田滋さんに会った。なんという偶然!
 吉田さんは1966年から68年にかけてヤマハのYDSで「世界一周」した方。そのときぼくは20歳。「アフリカ一周」に出発する直前だった。20以上もの質問事項をノートに書いて、それを持って帰国早々の吉田さんにお会いしたが、ていねいにひとつづつの質問に答えてくださった。当時はバイクでの海外ツーリングの情報は皆無に近かっただけに、吉田さんから得た情報はじつに貴重なものだった。
 吉田さんは大学を卒業するのと同時に「世界一周」に旅立ち、3年あまりの旅を終えるとすぐにヤマハに入社した。ヤマハ一筋で定年退職すると、シベリア横断ルートでの「世界一周」に旅だった。ウラジオストックを出発点にのシベリアを横断。これからウラル山脈を越え、モスクワからサンクトペテルブルグへ、そしてフィンランドのヘルシンキに向かうという。
 吉田さんは30数年前の「世界一周」のときにヘルシンキまで行ったが、モスクワまで走ることができずに悔しい思いをした。その悔しさを今、はらそうとしているのだ。
 そんな話を聞いてぼくは胸が熱くなった。
 吉田さんはヨーロッパからさらにアメリカに渡り、アメリカを横断して2度目の「世界一周」を達成させたいという。20代のときと60代のときの「世界一周」。固い握手をかわして別れた。
 オムスクに向かっていくと、カザフスタン国境の近くを通る。地平線までつづく大草原を見ていると、中央アジアの国々に無性に行ってみたくなるのだった。
 17時20分、クイビシェフ着。地元のテレビ局がやってきて美人リポーターにインタビューされた。
 この町の家まわりには、カナビラが自生している。このカナビラというのはマリファナの原料になる大麻。日本だったら大変なことになるところだが‥。
 クイビシェフでは「ガストニッツア」に泊まり、近くのレストラン「エプマック」で夕食。メインディッシュはマッシュポテトとキューリのピクルスを添えたカツレツ。それとサラダ。パンはケシの実入りのブロテキーだ。

カザフスタンへとつづく大草原


2002年7月17日(水)晴 クイビシェフ→オムスク 379キロ
 7時30分出発。M51でオムスクへ。
 8時30分、M51沿いのレストランでピロシキ、ピルメニ、スープの朝食。
 天気は快晴。大平原の中を行く。2車線のハイウエイを疾走。風が強い。
 カザフスタンとの国境近くを通っていく。このあたりまで来ると、オランダやドイツ、ポーランドなどヨーロッパ諸国からの大型トラックを見かけるようになる。
 大草原の中での昼食。パンとキューリ、ハム、ソーセージ、それと韓国製のインスタントラーメン。ここではフランス人のチャリダーに出会う。彼は「世界一周」中。ヨーロッパを走り、南北アメリカを縦断し、中国、モンゴルを走り、最後にロシアを横断してフランスに戻るという。
 17時30分、シベリアでも有数の工業都市、オムスクに到着。ホテル「モロディオズナヤ」に泊まる。ホテルのレストランで夕食。カツレツ&ライス、サラダ。夕食後、オムスクの町を歩いた。
※M51はオムスクからカザフスタン経由でウラル山脈の麓のチェラビンスクに通じている。無理すれば1日で走れる距離。しかし我々外国人はビザを取らなくてはカザフスタンに入れないので、オムスクからチューメニ、エカテリンブルグと大きく北に迂回し、4日かけてチェラビンスクまで行くことになる。

オムスクの教会。2000年に完成


2002年7月18日(木)晴 オムスク→イシム 350キロ
 7時、朝食。ホテルのビュッフェでのバイキング。黒パンとチーズ、ハム、サラミ、サラダ、ゆで卵、木イチゴ。
 9時、出発。チューメニへの道を行く。その途中、スピード違反で交通警察に止められた。スピードガンでの測定。
 昼食は草原で。パン&ハム、インスタントラーメン。
 15時15分、イシム到着。周辺は広大な麦畑。TVニュースの取材を受けた。
 バイクのオイル交換をしたあとイシム郊外の保養所へ。そこが宿。
 夕食は保養所内のレストランで。チャーハン風ライスと魚の燻製。
 バーニャ(ロシア風蒸し風呂)に入ったあと、飲み会になる。近くには警察の保養所があって、チューメニ警察のジマさん、チェラビンスク警察のビタリーさんがウオッカを持ってやってくる。
 日本対ロシアのウオッカ一気飲みのバトルになった。夜中の2時までバトルはつづき、もうフラフラ…。

イシムの飛行場で見た複葉機
イシムの教会


2002年7月19日(金)晴のち曇 イシム→チューメニ 316キロ
 8時、朝食。パン、チーズ、ハム、ヨーグルト、マカロニ。
 9時、出発。チューメニへ。
 風が強い。道端では野イチゴを売っている。小休止のときには、我々も野イチゴを摘んで食べた。
 12時、街道沿いのカフェでロールキャベツの昼食。
 18時、チューメニに到着。「ネフトヤニックホテル」に泊まる。夕食はホテル内のレストラン。肉料理と魚の燻製。
 夕食後、町を歩く。巨大なレーニン像が建っていた。
 ここは北緯57度。今回のルートでは一番、北になる。

チューメニへの道でひと休み
チューメニの町のレーニン像


チューメニの中心街
チューメニの夕暮れ


チューメニの郊外
チューメニを流れるトゥラ川


2002年7月20日(土)曇のち晴 チューメニ→エカテリンブルグ 330キロ
 8時、朝食。ソバ米、ポリッジ、ピラフ。
 9時、出発。
 またしてもスピード違反で捕まった。スピードガンによる測定。50キロ制限のところを94キロで走った。44キロオーバー。反則切符(A4の大きな用紙)を切られそうになったが、パスポート、国際免許証、バイクの国際登録証の提示でまぬがれた。
 ウラジオストックからここまでで一番寒い日。ガタガタ震えてしまう。
「おー、シベリア!」
 昼食は街道沿いのカフェ。ハンバーグ&マッシュポテト、スープ。
 エカテリンブルグ到着は17時。ホテル「ユーラシア」に泊まった。町をプラプラ歩き、レストランで夕食。ビーフステーキを食べた。

2002年7月21日(日)晴 エカテリンブルグ→チェラビンスク 237キロ
 8時、「ユーラシアホテル」での朝食。パン、チーズ、サラミ、それと目玉焼き。午前中はエカテリンブルグの町をまわる。自動車の部品屋などが並ぶ町の一角で、バイク用のタイヤを手に入れる。ロシア製のタイヤ。オムスクでつくられたものだ。すでにタイヤのすりへっているメンバーは交換。ぼくのDRはまだまだ十分に走れる。
 それにしても寒い。夏とは思えないような寒さだ。
 昼食も「ユーラシアホテル」のレストラン。黒パンにボルシチ。ロシアを代表するスープのボルシチにはオクロップとスミタナが浮いている。オクロップは香辛料、スミタナは牛乳を撹拌してつくるサワークリーム。メインディッシュはライス&魚料理。魚はタラだった。
 13時、出発。
 欧亜を分けるウラル山脈の東側を南下し、チェラビンスクへ。
 チェラビンスクに近づくと、ウラル山脈の山並みが見えてきた。
 18時30分、チェラビンスクに到着。「マラカイトホテル」に泊まる。ホテルの1階はトヨタの販売店。新車がズラリと展示されていた。
 夕食はホテル内のレストラン。マッシュポテトを添えた肉料理とキューリ、トマトのサラダ。夕食後は何人かでウォッカの飲み会になった。

昼食のボルシチ
ライスとタラのメインディッシュ


ウラル山脈が見えてくる
チェラビンスクで泊まったホテル


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