カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

第30回 松山

投稿日:2011年1月21日

2010年 林道日本一周・西日本編

瀬戸内海の船旅で四国編を終える

 夜明けとともに「東横イン松山一番町」を出発。このあたりは松山の中心街。時間は5時前なので、松山名物の路面電車はまだ走っていない。交通量もきわめて少ない。無人の大通りを自分一人で走っているようなものだ。
 愛媛県庁前を通り、松山市役所前を通り過ぎていく。このあたりからは城山公園の松山城がよく見える。
 松山は松平氏15万石の城下町。松山城の天守閣は貴重なもので、日本に現存する12天守のひとつになっている。太平洋戦争の空襲で焼き尽くされた松山だが、奇跡的にも城だけは残った。四国ではこのほか高知城、丸亀城、宇和島城の天守閣が江戸時代のもの。「現存12天守」の3分の1を四国が占めている。
 松山城の築城は慶長8年(1603年)。この地に移った加藤嘉明によって築かれた。それとともにこの地は松山と称されるようになった。松山以前は名もないような所だったようだ。それ以前の伊予の中心といえば松山ではなく、国府の置かれていた今治だ。
 松山の発展は17世紀以降のことになる。その松山が今では(高松と競ってはいるが)四国第1の都市になっている。
 JR松山駅前でスズキDR-Z400Sを停める。
 5時を過ぎたばかりで駅前にはまったく人影はない。松山は何かというと高松を意識し、競い合っているが、四国鉄道網の拠点は高松駅。駅の重要度、駅舎の大きさでは高松駅にかなわない。
 松山駅前を出発し、わずか4、5キロという超短い国道437号で松山港に向かう。しかしこの国道には先がある。
 国道437号というのは松山が起点で瀬戸内海第3の島、周防大島を縦断し、国道2号の玖珂(現岩国市)が終点になっている。日本の島を走る「島国道」の本数はきわめて限られているが、島単独の国道は1本もない。このように本土側に起点、終点の盲腸のような短い区間がある。
 たとえば佐渡を走る「島国道」の国道350号だと、起点の新潟側には2・8キロ、終点の直江津(上越市)側には2・2キロの区間がある。それを知らないで走ると、
「えー、こんな短い国道!?」
 と驚かされてしまう。
 もうひとつ、国道ついでにいうと、舞鶴には国道177号が走っている。
 起点は舞鶴市内の国道27号&国道175号との交差点で、終点は舞鶴港。その間はわずか0・7キロでしかない。舞鶴港からは小樽へのフェリーが出ているが、この国道177号は「島国道」ではない。その先はない、全長0・7キロの超短国道なのだ。
 舞鶴港に限らず、呉港や佐世保港など、かつての旧日本海軍の重要軍港につながる国道は概して短い。
 ところで国道437号の松山港からは、周防大島の伊保田港経由で柳井港へと防予汽船のフェリーが出ている。1978年の「日本一周」ではそのフェリーに乗って周防大島と松山の間を往復したので、ぼくにとって国道437号はよけいに気になる存在なのだ。

より大きな地図で 松山港 を表示
 国道437号の四国本土側の終点は三津浜港。ここから柳井へのフェリーが出ている。三津浜港から伊予鉄の三津駅まで戻り、海沿いの県道39号を北上すると伊予鉄終点の高浜駅。その駅前が高浜港で興居島などへのフェリーが出ている。
 さらにその北にあるのが松山観光港。松山港といえばこれら3港の総称だ。
 松山観光港からは広島へ高速船がほぼ1時間に1本出ている。フェリーも出ている。これから6時25分発の一番のフェリーで広島に向かうのだ。
 出港までまだ時間があったので、近くの「サークルK」で朝食。「今治風焼鳥丼」(550円)を食べた。「今治の焼鳥」といえば、いまではちょっとしたB級ご当地グルメ。「今治風」としてあるものの、それがコンビニ弁当で食べられるのがうれしい。
 松山観光港のフェリー乗場に戻ると、ちょうど石崎汽船の「翔洋丸」が入港するところだった。さっそくDRともども乗船。広島までは4460円。今治からしまなみ海道→山陽道で広島に行くよりも安いし、何よりも瀬戸内海の船旅を楽しめるのがいい。
「翔洋丸」は定刻通りに出港。すぐさま甲板に登り、離れていく松山観光港、そして四国の山々を眺めた。波静かな瀬戸内海は朝日を浴びて眩しいほどにキラキラ光り輝いていた。
「林道日本一周・四国編」が終った…。

フォトアルバム

早朝の松山を出発
正面の城山には松山城が見える


JR松山駅前
松山観光港の呉・広島行きフェリー乗場




コンビニ弁当の「今治風焼鳥丼」

松山観光港のターミナルビル
広島行フェリー到着!


松山観光港を出港
フェリー乗場が離れていく


松山観光港が離れていく
間遠になっていく四国の山々




朝日を浴びてきらめく瀬戸内海

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