カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

姥神大神宮渡御祭と江差追分1

投稿日:2010年11月29日

中央分水嶺を越えて江差へ

 長万部温泉「丸金旅館」の朝湯に入り、朝食を食べて出発。スズキDR-Z400Sを走らせ、まずは国道37号で室蘭方向へ。静狩峠、礼文華峠と越えたところで長万部に戻った。次に国道5号で小樽方向へ。前日に越えた蕨岱峠(仮称)を再度越え、長万部町から黒松内町に入っていく。

長万部温泉「丸金旅館」
長万部温泉「丸金旅館」の朝食


 この蕨岱峠は日本列島を太平洋側と日本海側に二分する中央分水嶺の峠。この峠が内浦湾(太平洋)と寿都湾(日本海)を分けている。
 ところで北海道遺産「北限のブナ林」のある黒松内町は中央分水嶺で見ると、じつに特異なところなのである。
 北海道の宗谷岬から九州の佐多岬まで、津軽海峡をまたぎ、関門海峡をまたいで1本の線になってつながっている中央分水嶺(北海道では宗谷岬から三国山まではオホーツク海と日本海を分ける線になっている)は、黒松町の区間だけは太平洋の海岸線スレスレのところを通っている。
 長万部から室蘭へ、国道37号を走ってみると、それがよくわかる。
 最初に静狩峠を越えて長万部町から黒松内町に入っていく。静狩峠は中央分水嶺の峠で長万部町は太平洋側、黒松内町は日本海側になる。峠を越えた黒松内町側を朱太川の源流が流れている。北海道遺産の「歌才ブナ林」を流れる朱太川は日本海に流れ出ていくが、その源流は太平洋の海岸から1キロと離れていない。ここでは太平洋と日本海がつながっているといっても過言ではないほどなのだ。
 国道37号は静狩峠につづいて礼文華峠を越え、黒松内町から豊浦町に入っていくが、この峠も中央分水嶺の峠で豊浦町は太平洋側の世界になる。


より大きな地図で 静狩峠 を表示

せつない歌詞の一節が刻まれた歌棄へ

 さて蕨岱峠(仮称)からは道道9号で「歌才ブナ林」の入口前を通り、黒松内温泉「ぶなの森」の入口前を通り、寿都湾(日本海)へ。
 国道229号にぶつかると江差方向に行く前に、逆方向の余市、小樽方向に向かい、歌棄(うたすつ)へ。
 寿都湾を一望する歌棄の海岸には、北海道遺産「江差追分」の歌碑が建っている。

歌棄の「江差追分」の歌碑

 それには、

  忍路高島

  およびもないが

  せめて歌棄磯谷まで

 と、「江差追分」の歌詞の一部が彫り刻まれている。
 ここは「江差追分」に歌われている「歌棄磯谷」のうちの歌棄なのだ。
 歌碑の目の前、国道229号沿いにはニシン番屋の「鰊御殿」が残されている。以前は旅館をやっていたが、今はもう営業していないようだ。
 歌棄からはさらに国道229号で余市、小樽方向に走り、尻別川の河口に近い磯谷まで行った。DRを停めて磯谷の海岸を歩き、しばし「江差追分」に思いを馳せた。
 磯谷を折り返し地点にし、国道229号で北海道遺産の江差に向かうことにした。
 ところで「江差追分」の歌碑にある忍路(おしょろ)は、余市から国道5号で小樽に向かった一帯で、かつてはニシン漁の好魚場だった。忍路湾や忍路半島など、今でも地名に「忍路」が残っている。
 高島は小樽から「おたる水族館」のある高島岬に向かった一帯で、ここもニシン漁では空前の繁栄を謳歌した。岬近くの祝津に「鰊御殿」が残っている。
「忍路高島およびもないが せめて歌棄磯谷まで」の「江差追分」の一節は、ニシン漁の「ヤン衆」を想う女性の歌。小樽の忍路や高島まで一緒に行きたいとはいわないけれど、せめて歌棄、磯谷まででいいから一緒についていきたい…という何とも切なくなるような恋歌なのだ。

歌棄の鰊御殿


歌棄に入る
歌棄の鰊御殿


歌棄の海岸
磯谷


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