カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

ニッカウヰスキー余市蒸留所

投稿日:2010年11月20日

日本最初のウイスキー醸造所

ウイスキー博物館の内部


 小樽から国道5号で余市へ。積丹半島への入口の余市に到着すると、北海道遺産になっているニッカウヰスキーの余市工場(蒸留所)を見学した。ここは人気のスポットで、ほかにも大勢の見学者がいた。入場無料だし、美人ガイド嬢が無料で案内してくれる。
 広い敷地内には赤い屋根の建物が何棟も建ている。それらはウイスキー製造過程の乾燥棟や蒸留棟、貯蔵庫棟などだが、工場というよりも公園といった感のあるニッカウヰスキー余市蒸留所だ。

ニッカウヰスキーの余市工場


蒸留棟の内部
公園を思わせるニッカの余市工場


 余市町指定の文化財になっている旧事務所前に立つ案内板には、「ニッカウヰスキー余市蒸留所」の歴史が簡潔に記されている。

ニッカウヰスキー株式会社
(旧社名 大日本果汁株式会社)

 大正7年(1918年)、スコットランドへ単身留学し、ウイスキー製法を日本人として初めて学び、日本最初の国産ウイスキーを世に出した一人の日本人青年、それが弊社の創立者・故竹鶴政孝でした。
 竹鶴はこの地がスコットランドの気候・風土や立地に酷似していることを発見し、ここをウイスキー製造の地として原酒工場を建設したのでした。
 この建物は竹鶴の事務所として昭和9年7月に建てられたものです。
 日本のウイスキーの生みの親となった竹鶴が、今日のニッカウヰスキーの隆盛という一大事業を成し遂げた原点として、また余市町の工業発達の足跡を示す文化的遺産の一つとしてこの建物は貴重なものとされ、余市町より文化財指定という栄誉を受け、永く後世に伝えることになったものであります。

 ニッカウヰスキーの旧社名は大日本果汁株式会社とあるが、会社の設立当初の主力商品は余市のリンゴを用いたリンゴジュースだったという。それで大日本果汁株式会社なのだが、その旧社名の「日」と「果」をとって「ニッカウヰスキー」になった。
 ニッカウヰスキー余市蒸留所内にはウイスキー博物館があるが、そこでは創業者、竹鶴政孝の生涯を知ることができる。
 竹鶴政孝は明治27年(1894年)、広島県竹原町(現竹原市)の造り酒屋の3男として生まれた。政孝は家業を継ぐため、大阪高等工業(現大阪大学)の醸造科に進み、醸造学を学んだ。だがここで政孝は日本酒ではなく、洋酒の世界にのめり込み、卒業後、大手洋酒メーカーの摂津酒造に半ば押しかけ的に入社した。ここで摂津酒造の社長に「スコットランドに行って、モルトウイスキーを勉強してこないか」といわれたという。
 こうして政孝は大正7年(1918年)7月、単身、スコットランドに旅立った。何ともすごいドラマではないか。
 スコットランドに渡った政孝は、グラスゴー大学の応用化学科に聴講生として入学し、ここで様々な出会いを果たすことになる。恩師のウイリアム博士と出会い、数多くのウイスキー関連の文献とも出会う。
 政孝はウイリアム博士の紹介でウイスキー造りの本場、ローゼスという町に下宿した。ハイランドと呼ばれるこの地方には、多くのウイスキーの蒸留所があり、政孝はここで本場のウイスキー造りを学んだ。それのみならず、政孝はこの地で生涯の伴侶となるリタ(ジェシー・ロベルタ・カウン)と出会い、大正10年(1921年)にリタと一緒に日本に帰ってきた。
 竹鶴政孝が北海道・余市の地にやってきたのは昭和9年(1934年)。ここに新会社を設立し、昭和15年(1940年)、ついに第1号ウイスキーを出荷。政孝とリタは従業員たちと一緒になって、馬車で出荷されていく第1号ウイスキーを見送ったという。
 ニッカウヰスキーの余市蒸留所内には政孝とリタ夫人が住んでいた旧竹鶴邸が残されている。銅像も建っている。ウイスキーとともに生きた竹鶴政孝の生涯はじつに興味深い。

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