カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記

五稜郭と箱館戦争の遺構

投稿日:2009年11月16日

新日本統一、最後の激戦地

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江戸幕府の手によって築城された五稜郭の入口


 函館駅前からは「北海道一周」の愛車、スズキDR?Z400Sを走らせ、五稜郭へ。その入口には、次のように書かれた案内板が立ていた。

 五稜郭は安政元年(1854年)に結ばれた日米和親条約によって開港された函館をはじめとする北辺防備のため、江戸幕府の手により、安政4年(1857年)4月に着工され、元治元年(1864年)に完成した西洋式の城であり、慶応3年(1867年)10月の大政奉還後、新政府に移管された。明治元年(1868年)におこった戊辰戦争では旧幕府脱走軍榎本武揚らによって短期間占拠されたが、新政府軍に平定されてから開拓使、陸軍省の所管を経て、大正3年以降、公園として市民に開放されている。城の形が五稜形をしているのは、守備の際に死角をなくすためであり、武田斐三郎の指導のもとに、西洋式の築城法をとりいれて造られたものである。

 さすが官軍の流れを引き継ぐ国の書いた案内板らしく、榎本武揚らは「旧幕府軍」ではなく、「旧幕府脱走軍」になっている。
 徳川幕府が倒れ、新政府が発足してからというもの、旧幕府軍の抵抗は強かった。そして新政府軍対旧幕府軍の戊辰戦争が勃発。日本は16ヵ月にも及ぶ内戦に突入した。その皮切りとなった鳥羽・伏見の戦いで破れた旧幕府軍は敗走をつづけ、その最後の地が箱館(函館)になる。榎本武揚を中心とする旧幕府軍は江戸港から8隻の軍艦とともに箱館に入り、五稜郭を占拠して新政府軍と戦ったが、敗れさる。
 箱館戦争の終結は明治2年(1869年)5月17日。
 この日をもって日本は再統一され、新生日本が誕生した。函館はそんな日本の、大きな転換点となった歴史上の舞台。
 箱館戦争に欠かせない新撰組の土方歳三は仙台で榎本武揚と落ち合い、箱館に入ったが、明治2年(1869年)5月11日、箱館の一本木関門で戦死した。
 箱館戦争で戦死した官軍の兵士たちは、函館山の麓にある護国神社に祀られている。立派な神社で、函館山を背に聳えるように建っている。鳥居も大きい。ところが箱館戦争で負けた旧幕府軍兵士の遺体はそのまま放置されたという。まさに「勝てば官軍、負ければ賊軍」。函館山の麓の「碧血碑」は、土方歳三をはじめとするそんな旧幕府軍の戦死者816名の慰霊碑だ。

 一方の榎本武揚は生き延びる。戦後、明治政府の高官になり、外務大臣や文部大臣、農商務大臣などを歴任し、明治41年(1908年)に73歳で死んだ。土方歳三と榎本武揚、2人の人生はあまりにも対照的。
 さて五稜郭だが、堀を渡って藤棚をくぐり抜け、城内に入ると広い市民公園になっている。子供たちの遊具もある。そんな城内の一角には五稜郭を設計した蘭学者、武田斐三郎の碑がある。
 五稜郭の中央部では、箱館奉行所の庁舎復元工事の真っ最中。来年には完成するという。箱館奉行所は函館山の麓にあったものが、開港後、移されたという。五稜郭というのは箱館奉行が蝦夷地を統治するために、役所を新築する敷地として造られた城郭ということになる。
 この箱館奉行所の完成は何とも楽しみ。そのときにはまたぜひとも函館に来てみたい。きっと函館観光の新たな目玉になることだろう。

 ところで「五稜郭と箱館戦争の遺構」だが、「カブタンとノンタンの北海道遺産」ブログには詳細に描かれている。
「旧幕府軍が蝦夷地に上陸したのは明治元年10月21日。箱館奉行所があった五稜郭に進軍し、五稜郭を占拠したのが10月26日。その先、松前藩を打ち破り、蝦夷地を手にしたのが12月15日。あっというまに『蝦夷共和国』が生まれる勢い!」
 といった具合でシリーズになっている。
 みなさん、ぜひとも「カブタンとノンタンの北海道遺産」は見てください。カブタンは我が北海道遺産の師です。

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五稜郭の堀
五稜郭の堀


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城内は公園、子供たちの遊具も設置されている
五稜郭を設計した蘭学者、武田斐三郎の碑


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2010年完成予定で箱館奉行所が復元中だ


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